ベストボディ・ジャパン2025日本大会総合グランプリ・寺田政弘さんが伝えたい“健幸な生き方”
多摩市で暮らしながら、世界を舞台に仕事をし、次々と挑戦を続けている人がいる。
2025年に開催された「ベストボディ・ジャパン日本大会」において、全クラスを通じた総合グランプリという快挙を成し遂げた寺田政弘(てらだ まさひろ)さんだ。
鍛え上げられた身体はもちろん、その背景にある挑戦の積み重ねや時間の使い方、そして前向きな考え方は、多くの人にとって大きなヒントになる。
今回は、ベストボディ・ジャパン2025日本大会総合グランプリの栄冠を手にした寺田さんに、その挑戦の軌跡と多摩市での暮らしについて伺った。
大けがをきっかけに始まった、新たな挑戦
ベストボディ・ジャパンのトップ選手として活躍する寺田さん。元々は12年間にわたりトライアスロンに打ち込んできたアスリートだった。
中でも挑戦していたのは、スイム・バイク・ランを組み合わせた過酷な耐久競技「アイアンマンレース」。
長年にわたり競技を続けてきたが、バイク練習による大けがが大きな転機となる。
「アイアンマンレースで大けがをし、家族とも相談して、これ以上続けるのは危険だということになりました。」と寺田さん。
元々興味を持っていたボディメイクの世界へ挑戦することを決意する。
数ある大会のなかでベストボディ・ジャパンは、全国から多くの選手が集い、日本最高峰の舞台として知られている。
この日本最大の大会規模に加え、大会のコンセプトや年代別カテゴリーに魅力を感じ、ベストボディ・ジャパンへの参戦を決めたという。
大けがから見えた、新たなスタートライン。挫折のようにも思える出来事を、新しい挑戦への入口に変えたことが、日本一への道の始まりだった。
難しいからこそ目指す“両立”という挑戦
現在、寺田さんは半導体製造装置の海外担当営業マンとしての一面をもち、多忙な仕事に従事している。
海外出張や会食も多く、生活リズムが一定になりにくい職種だ。
アスリートとして活動しながら、同時に第一線で働くビジネスパーソンでもある。
「トレーニングそのものは子どもの頃から大好きなので問題ありません。ただ、海外出張や会食が多いため、タイムマネジメントや自己管理、特に食事面は本当に大変です」と寺田さん。
ボディメイク競技では、トレーニングだけでなく食事管理が成績を大きく左右する。
食べるもの、食べる時間、休養の取り方。その一つひとつを意識し続けなければならない難しさがある。
↑寺田さんの食事の写真
さらに、苦労は食事・身体面だけではない。
「仕事で落ち込むこともありますし、『両立は無理かもしれない』と思ったことも何度もあります」
そうした壁に直面した時、寺田さんは発想を変えることで乗り越えてきた。
「この仕事を乗り越えて、この環境下で日本一になることは誰にでもできることではないと思うようにしました」
厳しい環境を言い訳にするのではなく、自分にできない挑戦の価値として捉える。
その考え方が、競技と仕事を両立する原動力になっているようだ。
また、トレーニング時間を確保するため、早朝や夜の時間を有効活用しているという。限られた時間をどう使うか。
その積み重ねが、モデルジャパン2021東京大会 ゴールドクラス(50~59歳)での優勝に始まり、そこからモデルジャパン2025東京大会まで5連覇、さらにはベストボディジャパン日本大会2024、2025で2連覇を達成するなど、50歳でボディメイクの世界に挑戦してからわずか数年。
限られた時間のなかで努力を積み重ねた結果、ついにはベストボディ・ジャパン2025日本大会で全世代の頂点となる総合グランプリを獲得し、日本一の称号を手にしたのだ。
「頑張る」意識よりも「習慣にする」意識
寺田さんに、日々の身体づくりで大切にしていることを尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「やらなくてはと思うのではなく、このライフスタイルを習慣にすることです」
目標達成のために無理を続けるのではない。生活の一部として習慣にする。それが長く続ける秘訣だという。
「健康面も含めて、自分自身を大事にすることを心がけています。なかなか難しいですけどね」
日本一になった人の言葉でありながら、決して真似できないような特別なことではない。
今日から始められる小さな積み重ねの大切さを教えてくれている。
習慣は一日では身につかない。しかし、その積み重ねは確実に未来を変えていく。
寺田さんの身体づくりは、そのことを証明しているようにも感じられる。
誰も達成していないことを達成したい
華々しい成績を見ると一見順調そうにも見えるが、もちろんすべてが順調なわけではない。仕事もしている以上、プレッシャーやストレスを抱えることもある。
「全力でやってダメであれば仕方ない。そう思うようにしています」
自分ができることをやり切る。そんな考え方が、挑戦を長く続ける秘訣なのかもしれない。
日本一を達成した今も、寺田さんの挑戦は続いている。その原動力になっているのは、「誰も達成していないことを達成したい」という強い思いだ。
ベスト・ボディジャパンでは、2025年の大会からプロの新団体「BEST BODY UNIVERSE(BBU)」が設立され、各部門の上位入賞者や基準を満たした選手には、プロ資格(プロカード)が付与される。寺田さんは、この2025年大会、50代で大会史上初となる総合グランプリ(全世代の中のトップ)を獲得。2026年シーズンは、プロ資格を有して挑む初めてのシーズンとなる。そして目指す場所は、さらに次のステージに向いている。
「今シーズンは初めてとなる”プロ大会”でのグランプリ、そして”Japan大会”で最初のグランプリとMVPの獲得が目標です」
2026年10月11日㈰に、横須賀芸術劇場・大劇場で開催される「BEST BODY UNIVERSE 2026 PREMIER PRO」(プロ大会)と11月22日㈰に両国国技館で開催される「BEST BODY UNIVERSE 2026 JAPAN PRO GP」(Japan大会)に出場する予定だ。
寺田さんは、「今シーズンはこれがすべてです!最高に仕上げた心とカラダをもって、今まで以上に凄みを増し、皆さんを魅了するステージにします!」と力強くメッセージをくれた。
見据える先には、まだ誰も到達していない景色が待っている。
多摩市で見つけた、自分らしい暮らし
寺田さんが多摩市に住むようになったきっかけは、アメリカ勤務からの帰国だった。
それまでシリコンバレーやテキサスで生活を送っていた寺田さん。帰国後は、自然が豊かで環境の良い場所に住みたいと考えていたという。
「犬を2匹飼っていたので、きれいな環境のまちに住みたいと思っていました。また、妻の実家が近かったこともあり、多摩センターを選びました」
豊かな緑と都市の利便性が共存する多摩市での暮らしは、寺田さんのライフスタイルにも自然と溶け込んでいった。
お気に入りの場所を尋ねると、真っ先に名前が挙がったのは、多摩センターにあるトレーニング拠点「Fit Place24」。そして、近隣のカフェで過ごす時間も欠かせないという。
「コメダ、サンマルク、タリーズ、ドトールによく行きます」
休日は早朝にトレーニングを済ませた後、ブランチを楽しみ、短時間の休息を取る。その後はカフェで読書をしたり、音楽を聴いたり、Netflixを観たりしながら過ごしている。
オンとオフを切り替える時間が、次の挑戦への活力になっている。
地域とともに進める健幸まちづくり
多摩市で暮らす中で、寺田さんは競技者としての経験を地域に還元する活動にも力を注いでいる。
これまでにも、自宅でできるトレーニングを紹介する動画への出演や、企画課が発行する40歳向け健幸啓発情報誌『for 40』への記事掲載など、多摩市の健幸まちづくりに協力してきた。
「地元多摩市で協力させていただけたことを心からうれしく思っています」
その言葉からは、自身が暮らすまちへの愛着と、地域貢献への思いが伝わってくる。
そしてまだ少し肌寒さが残る5月23日㈯、その取り組みの一環として、多摩市立中央図書館で開催された「ライフウェルネスワークショップ」の講師として登壇した。募集定員20名に対して応募が殺到し、受付は早々に締め切られるほどの人気ぶりだった。
ワークショップのテーマは「どんな年齢でも輝ける」。
内容はアスリート向けの専門的なトレーニングではなく、日常生活の中で無理なく取り入れられる身体づくりや健康習慣が中心だった。その考え方は、多摩市が推進する健幸まちづくりにも通じるものだ。
具体的には、基礎代謝を高めるために重要な筋肉量の話や、年齢に負けない身体づくりに効果的なスクワットの方法などを紹介。全身の筋肉の約7割を占めるとされる下半身を鍛える重要性についても語られ、参加者は寺田さんと一緒にスクワットを実践する貴重な時間を過ごした。
寺田さんが考える「健幸」とは
競技者として、そして一人の生活者として、寺田さんは「健幸」をどのように捉えているのだろうか。
その答えは、とてもシンプルだった。
「一日一日を全力で楽しめること」
朝起きて気分が良い。
身体の調子が良い。
トレーニングの調子が良い。
ご飯がおいしい。
コーヒーがおいしい。
そんな日常の小さな幸せを感じられることこそが、寺田さんの考える「健幸」だという。
「ただ、それは身体が整っていないと感じられないことでもあります」
特別な成功や大きな目標を達成することだけが幸せではない。日々の暮らしの中で心地よさや充実感を感じられること。その積み重ねこそが、寺田さんが大切にしているライフスタイルであり、日本一を支える土台にもなっている。
「年齢は関係ない」というメッセージ
「私は心から年齢は関係ないと思っています」と寺田さん。
もちろん、無理をする必要はない。自分自身が楽しめなければ続かない。
しかし、小さな習慣は必ず大きな変化につながるという。
「ちょっとした習慣が大きな変化や進化をもたらします。一緒に充実したライフスタイルを築いていきましょう」
日本一という結果の裏に、特別な近道があったわけではない。
あったのは、日々を大切に積み重ねる習慣と、自分を信じて挑戦し続ける姿勢だった。
仕事が忙しくても。
年齢を重ねても。
挑戦することはできる。
寺田政弘さんの歩みは、そのことを私たちに力強く教えてくれている。
【関連情報】
・令和8年度ライフウェルネスワークショップ|市公式ホームページ
・40歳向け健幸啓発情報誌「for 40」|市公式ホームページ

寺田さんの足のトレーニングの様子
ワークショップで、寺田さんにスクワットを教わりながら一緒に実践する様子。

















































