堀内文翔さんとリアルタイムクーポンアプリ
多摩市には飲食店を支援しようと奮闘する中学生がいる。
今回は鶴牧在住の中学生、堀内文翔(ほりうち あやと)さんにお話しを伺った。
「リアルタイムクーポン」を開発
堀内さんは、2006年生まれの14歳。
現在、調布市にある中高一貫校「ドルトン東京学園」中等部の3年生だ。
堀内さんは、昨年11月に同学園で行われた事業アイデアを発表する中学生向けの起業家育成プログラム「ガイアックス特別ラボ起業ゼミ」の第1回大会で「リアルタイムクーポンアプリ」をプレゼンしたところ、参加した20名の中から事業検証費用として5万円が受けられる3名のメンバーに選出。
その後、今年3月に行われた事業成果をプレゼンするピッチ大会では、最高の評価を獲得。株式会社ガイアックスから法人設立費用として、200万円の投資が決まった。
堀内さんが開発した「リアルタイムクーポンアプリ」は、スマートフォンから利用できるWebサイトのサービスだ。店舗の人がフォーマットに従って割引率などを選択するだけで、簡単に割引クーポンを作ることが出来る。
「お店の都合の良いタイミングでクーポンを最短30秒で作れます。クーポンの使用期限も、最短1分から長期間まで自由に設定できるので、例えば賞味期限が迫った商品を今日中に売りたい場合は、すぐにクーポンを作ることできて、食品ロスの回避にもつながります」とアプリの特徴を話した。
開発のきっかけは、家族と週に1度は行く市内の居酒屋に行った際、日によって客が少なかったり、満席だったりと客入りの流れが読めず、波が激しいのが課題だと感じたことだった。
「その課題を僕がどうにか解決できないかと思って、それでお店が好きなタイミングでクーポンを発行できるサイトを作ろう思いました」と、堀内さんは「リアルタイムクーポンアプリ」の基となったアイデアを話した。
多摩市若者会議が活動をサポート
中学ではサッカー部のキャプテンを務めるほど行動力のある堀内さんは、ひとりで市内を自転車で駆け回り、各店舗を巡って「リアルタイムクーポンアプリ」を提案するものの、当初はアプリを利用してくれるお店はなかなか見つからなかったという。
チラシを500枚刷って、友達と一緒に1軒ずつポスティングしたり、地道に提案を続けたが、当時は緊急事態宣言中ということもあり、アプリに興味をもってもらえなかったそうだ。
こうした中、多摩市若者会議のメンバーが堀内さんの活動を聞きつけ、この春から活動をサポート。一緒にポスティングをしたり、長期休暇などを利用して、市内の各店舗を一緒に回り「リアルタイムクーポンアプリ」の提案を進めていくことが決まった。
堀内さんは「多摩市若者会議の皆さんと繋がることが出来て、本当に心強いです。皆さんとならもっと多くのお店に知ってもらえると思うし、それに伴ってユーザー数も増えていくのではないかと楽しみにしています」と多摩市若者会議との連携に期待を膨らませた。
多摩市若者会議の高木さんは「若者会議は『失敗を恐れずにチャレンジしていく』がコンセプトのひとつ。堀内さんは根っこの部分でそれを体現しているところがすごい。僕らと考え方が近いし、実際にそれを花開かせるスキルも持っている。今後はしっかり連携して、堀内さんを応援していきたい」と話した。
登録店舗数は現在、多摩市若者会議が手掛ける「未知カフェ」を含め10店舗が登録。約100名のユーザーが登録している。
「まずは多摩市限定で市内の飲食店を助けるのが目標。いずれは飲食店に限らず、様々なお店の方が利用できるアプリにしていきたい。現時点ではユーザー、掲載店舗のどちらも無料で利用できますが、今後はビジネスとして完成させていくことが最終目標です。まずは使ってもらえれば」と、今後の意気込みを話す堀内さん。同サービスのスマホアプリ化も進めているそうだ。
インタビュー中、終始にこやかな笑顔を見せた堀内さんだが、その芯のある眼差しは多摩市の将来をしっかり見据えていた。
リアルタイムクーポン
公式サイト:https://previewer.adalo.com/8a8de212-af9c-4aa2-bee6-37a01d8df2f0