「私にとって第二の故郷」本名陽子さんが語る、公開31年を迎えた聖蹟桜ヶ丘
1995年公開のスタジオジブリ作品『耳をすませば』の参考とされた街・聖蹟桜ヶ丘で2026年6月14日(日)、出演者によるトークショーが京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターA館6階「アウラホール」で開催された。
これはスタジオジブリ責任編集『宮﨑駿イメージボード全集 6 耳をすませば On Your Mark』(6月4日発売 岩波書店刊)の刊行にあわせて開催された「せいせき観光まちづくり会議」主催のイベントだ。
登壇したのは、主人公・月島雫役の本名陽子さん、杉村役の中島義実さん、原田夕子役の佳山麻衣子さんの3名。
約30年ぶりとなる京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター「アウラホール」での『耳をすませば』関連イベントには、全国から応募したファンの中から抽選で選ばれた約180人が集まり、31年を経た今も色あせない作品への思いを確かめ合う一日となった。
イベントに先立ち、本名陽子さん、中島義実さん、佳山麻衣子さんにインタビューを実施。映画公開から31年を経た今、聖蹟桜ヶ丘への思いを伺った。
映画公開10周年から続く、聖蹟桜ヶ丘との絆
『耳をすませば』には、聖蹟桜ヶ丘を参考にした風景が数多く描かれている。
本名陽子さんが初めて聖蹟桜ヶ丘を訪れたのは、『耳をすませば』の収録が行われていた頃。「カントリー・ロード」のCDジャケットの撮影で訪れたのが最初だった。
映画公開から10年後。本名さんと聖蹟桜ヶ丘を再び結び付けたのが、映画公開10周年を記念して2005年に始まった「せいせきハートフルコンサート」だ。
本名さんは「映画公開10周年を記念して『せいせきハートフルコンサート』を開いていただいたことは、本当に歴史に残る出来事でした。そこから何度もゲストとして聖蹟桜ヶ丘に招いていただいています」と当時を振り返った。
当時は映画公開から10年が過ぎ、『耳をすませば』に関連する催しも少なく、「カントリー・ロード」を人前で歌う機会もほとんどなかったと話す本名さん。
所属事務所から「10年経っていますが歌えますか?」と聞かれたそうですが、それまで身近な子どもたちの前でずっと歌っていた経験から「もちろんです!」と即答したそうだ。
さらに本名さんの印象に残っているのが、「せいせきハートフルコンサート」が一人の学生の呼びかけをきっかけに始まったことだった。
「はじめの頃は手作りのイベントでしたので、一回一回、薄皮をはぐように皆で少しずつ成長してきた感じがあります」と、地域の皆さんが少しずつ育ててきたイベントを振り返りながら「今ではプロ顔負けのステージに育ったことは、本当に異次元のことだと思っています」と語った。
ホールの確保や受付、楽屋づくりまで、地域の人々が試行錯誤を重ねながら育ててきた「せいせきハートフルコンサート」は、回を重ねるごとに成長を続け、今では全国から多くのファンが訪れるイベントへと成長している。
聖蹟桜ヶ丘の人々と一緒に歩みを重ねてきた本名さんは、「街の皆さんと一緒にイベントができるのが一番うれしいですし、作品を見て感動するだけでなく、街も人も元気になるという、『耳をすませば』は、スタジオジブリ作品の中でも本当に稀有な存在なんじゃないかと思っています」と話した。
30年を経て再会した「クラスメート」
昨年11月の映画公開30周年記念上映会とトークショー、そして今年2月の「せいせきハートフルコンサート」に続き、聖蹟桜ヶ丘では『耳をすませば』にまつわる催しが続いている。
インタビューで印象的だったのは、月島雫、杉村、原田夕子を演じた3名が再びそろったのは、実はごく最近だったということだ。
本名さんは、その再会を「本当に奇跡が奇跡を呼んで集まったような感覚でした」と振り返る。
きっかけは、一昨年、本名さんと中島義実さんの思いがけない再会にはじまる。
本名さんが講師として参加した講演会で、中島さんが和太鼓演奏のオープニングアクトを務めていたのだ。
「偶然にも、その3日前にSNSでつながって電話で話していて、『今度会おうね』と言っていたら、3日後にばったり会ったんです(笑)。そこからつながりが広がっていきました」(本名さん)
その後、中島さんが佳山麻衣子さんにSNSでメッセージを送ったが、すぐにはつながらなかった。
佳山さんは笑顔を見せながら当時を振り返る。
「メッセージが違うフォルダに入っていて気づかなかったのですが、大晦日にたまたま開いたら、1年前のメッセージが入っていて(笑)。失礼かなと思いながら返信したら、そこから一気につながって、先日、3人で初めて顔を合わせました」(佳山さん)
本名さんは「29周年で中島さんとつながって、30周年で3人がそろいました。本当に奇跡ですよね」と笑顔を見せた。
30年以上ぶりの再会にもかかわらず、中島さんは「会った瞬間にタイムスリップしたようでした。当時のクラスメートみたいに戻ってしまう。本当に不思議でしたね」と話し、長い空白を感じさせない再会だったことを明かした。
聖蹟桜ヶ丘は「第二の故郷」
こうして再会を果たした本名さん、中島さん、佳山さんの3名は、先日「せいせき観光まちづくり会議」の皆さんの案内で聖蹟桜ヶ丘の街を巡ったそうだ。
中島さんは「名所といわれる場所を見せてもらいました。温かい街というか、会う人会う人の気持ちがこもっていて、本当にこの街が好きなんだなというのがまじまじと感じられました。住みたいなって思うくらいの街ですね」と街の印象を語った。
一方、佳山さんは「最初に3人で再会したのが雨の日で、神社の辺りしか回れなかったのですが、その後しっかりガイドしていただきました。作品のシーンと今の風景がきれいに重なって本当に『耳をすませば』の世界に入ったような気持ちになれました。街の皆さんも本当に温かくて、また来たいと思える街でした」と、初めての聖地巡礼を振り返った。
そうしたふたりの言葉に、本名さんもうなづいた。
「作品の中では『この土地に暮らしていた中学生』だったんですが、本当にここに住んでいたような懐かしさがあるんです。歩いているうちに記憶がどんどんよみがえってきて、みんなで『第二の故郷だね』って話しました」(本名さん)
中島さんは「街を歩きながら当時の話になって、『アフレコは4日間しかなかった』と陽子ちゃんから聞いて驚きました。体感では2週間くらい一緒にいた気がしたんです。でも実家に残っていた記録を見ると、本当に4日間だった。『よくやったよね』と3人で話しました」と笑顔をみせながら話した。
佳山さんも「近藤監督は穏やかで、いつもニコニコされていました。出演者同士も本当に仲が良かったので、自然体で演じられる、とても温かな現場だったと思います」と、31年前の記憶を静かに振り返った。
これからも続く、聖蹟桜ヶ丘とのつながり
イベントでは、観客から寄せられた質問を中心に約1時間のトークショーが繰り広げられた。制作当時の思い出や30年以上を経て実現した出演者3人の再会、そして作品への変わらぬ思いが語られ、会場は終始温かな空気に包まれた。
終盤には、本名さんが『耳をすませば』の主題歌「カントリー・ロード」を披露。アカペラで歌い始めると、伸びやかな歌声がアウラホールいっぱいに響き渡り、観客は静かに耳を傾けた。歌い終えると、大きな拍手が会場を包み込んだ。
歌唱前、本名さんは、このイベントについて次のように語った。
「このイベントは、地域の皆さんが一つひとつ手作りで積み重ねてきたもの。その温かさが私は大好きなんです」
その言葉どおり、この日も出演者と来場者、そして地域の人々が、一つの作品を通して心を通わせる時間となった。
『耳をすませば』は公開から31年を迎えた今も、多くの人の心を動かし続けている。近年は作品と聖蹟桜ヶ丘との結び付きが改めて注目されるようになり、作品を愛する人々が31年にわたって育んできた時間は、今も聖蹟桜ヶ丘という街の文化として息づいている。
本名陽子さんが「第二の故郷」と呼ぶ理由は、作品をきっかけに生まれた人との出会い、地域の人々と積み重ねてきた時間、そのすべてが、この街を特別な場所にしてきたからなのだろう。
こうした歩みを受け継ぐように、来年1月には22回目となる「せいせきハートフルコンサート」の開催が予定されている。
イベントの最後、本名さんは、作品への思いをこう語った。
「近藤喜文監督は先に旅立たれましたが、きっと届いていると確信しています。私たちが語り継いで、この街の皆さんと『また頑張ろうね』と言えるような――そんな作品を共有できたら、幸せだなと思っています」と語った。
本名さんの願いのように、『耳をすませば』はこれからも作品を愛する人々と聖蹟桜ヶ丘を結び、新たな出会いやつながりを生み続けていく。
その物語は、これからも聖蹟桜ヶ丘の風景とともに、多くの人へ受け継がれていくことだろう。
聖蹟桜ヶ丘の観光・聖地巡礼|映画『耳をすませば』参考の街|せいせき観光まちづくり会議
本名陽子 コンサート/イベント スケジュール
- 8月1日(土):愛知県 小牧市市民会館ホール
8月2日(日):三重県松阪市 クラギ文化ホール
出演:中部フィルハーモニー交響楽団
指揮:竹本泰蔵、ピアノ:CHIAKi
司会、歌:本名陽子 - 9月19日(土):サイトウミュウ 40周年記念ライブ
ゲスト:本名陽子
開演19時 六本木 REAL DIVA’S - 10月31日(土):栃木県大田原市
- 11月21日(土):広島県福山市
- 11月22日(日):山口県防府市
- 11月23日(月祝):鳥取県米子市
- 2027年1月:せいせきハートフルコンサート(聖蹟桜ヶ丘)
公開日:2026年8月7日

本名陽子
中島義実
佳山麻衣子

















































