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vol.61

HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ)

聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて約7分、多摩川の近くの路地を進むと一軒の古民家が見えてくる。ここは土日祝日限定で開いているドーナツ専門店「HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ)」だ。

今回は店主のまつかわひろのりさんにお話しを伺った。

大学在学中に出店を決意。口コミが広がり話題のお店へ

まつかわさんは1988年生まれの32歳。広島県出身で高校時代に家族で横浜に引っ越してきた。

東京農業大学在学中の頃から旅が好きだったまつかわさんは、バックパッカーで海外諸国を訪ねたり、ヒッチハイクで日本中を巡っていく中で、’’人が集まる場所’’が好きになっていたという。

「学生の頃に1日限定カフェのイベントを企画したりするのが楽しくて、いつかお店をやりたいなと思っていました」そう話すまつかわさんは、大学卒業時に「3年後に自分のお店を持つ」ことを決意。その後、表参道のファッションブランドが手掛けるアパレルレストランで、朝から晩まで働いた。

そして3年後、まつかわさんは聖蹟桜ヶ丘にある一軒の古民家に巡り合う。

「お店は店舗物件よりも普通のお家や古民家で出来ればいいなと思ってました」

その古民家を改装して、2014年9月にオープンしたのが「HUGSY DOUGHNUT」だ。

お店は関戸の大河原公園近くの路地を進んだ袋小路にある。Googleマップを見ながら向かっても、なかなかたどり着けずに迷ってしまう人が続出するほどの「超隠れ家的なお店」だ。

まつかわさんは「店をはじめた頃は誰も来なくて苦労しました。でも、アパレルレストランで働いていた時におぼえたSNSでお店の情報を発信していくと、次第に口コミが広まってテレビや雑誌の取材も入るようになりました。なので、実は1回もビラ配りや広告を出したことはないんです」と当時を振り返る。

お店を訪れたお客さんが、近所の人に聞きながら一緒にお店を探してくれたおかげで、近隣の住民の方にも次第にお店を認識してもらえるようになったという。

フォトジェニックなドーナツ。試作は月に1回

「HUGSY DOUGHNUT」のドーナツは、全粒粉など3種類の小麦粉をブレンドし、小麦の甘さを引き立てるために砂糖は少なめにし、豆乳を加えて揚げているのが大きな特徴だ。

グレーズでコーティングされたスタンダードな「ハグジードーナツ」や、パイナップルがのった「ゴールデンドーナツ」など、フォトジェニックなドーナツを数種類販売している。

「はじめは素朴なドーナツが多かったんですが、アメリカや台湾など世界中のドーナツを実際に食べに行ってみると、独創的で創意工夫された面白いドーナツがあることを知って、これを形に出来ないかなと思うようになりました」

もともとイラストレーターもしていたまつかわさんがイメージを作り、管理栄養士をしているまつかわさんの奥さまがドーナツを形づくるなど、季節にもよるが月に1度は新商品のための試作を夫婦二人三脚で行っている。昨年はテレビ東京『モヤモヤさまぁ~ず2』の番組内でも、その試作品が取り上げられ反響も大きかったという。

「その時はヤマタノオロチやエリンギなど、かなりぶっ飛んだドーナツばかりでした。目立つことも大切だけど、おいしさも大切で、1個食べた時に満足できるドーナツを作りたいという思いがあります。なので、試作の中から商品になるのはすごく少ないんです」と話すまつかわさん。現在はゴリラの形をした「オールドファッション」のドーナツを試作しているそうだ。

聖蹟桜ヶ丘が好き。ここで発信したい

まつかわさんは「カーゴバイク(テント付きの自転車)に乗って、いろんな街でドーナツを販売してきましたが、一番反応が良くて優しくしてくれたのが聖蹟桜ヶ丘の人たちでした。何もなかった僕がドーナツ屋をはじめて6年間続けることが出来たのは、聖蹟桜ヶ丘の人たちに育てていただいたからという想いがあります。ここは街と自然のバランスが僕にはすごく心地良くて、個人商店をしている人たちはみんな気持ちのいい人たちばかりで街が活性化してるし、公園もたくさんあって子育てしやすい街だなと思ってます。縁(えん)あって聖蹟桜ヶ丘に来たんですが、僕は聖蹟桜ヶ丘が好きです。これからもここで発信できたらなと思っています」と今後について語った。

近年は様々なイベントやフェスに呼ばれることも多く、お店やイベントのオリジナルドーナツを作る機会も増え、昨年1月には台湾で展示会を行うなど精力的に活動してきたが、昨年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響でその機会も奪われてしまった。

まつかわさんは新型コロナウイルスの自粛期間中に模索した中で、アニメなら世界中に発信できて楽しんでもらえると思い、現在は新たな活動として、ドーナツを作りながらもアニメ動画を制作して、自身のYouTubeチャンネル「砂糖天麩羅」で公開している。

「エンターテイメントでドーナツを作りたいんです」と話すまつかわさんは、今後も形にとらわれず、遊びごころを大切にしながらもおいしさを追求した新しいドーナツを作り続ける。

店舗名
HUGSY DOUGHNUT
住所
東京都多摩市関戸2−18−7
営業時間
11:00〜18:00
営業日
土日祝日のみオープン
電話番号
090-6164-1916
URL
https://www.hugsycafe.com/
まつかわひろのり

HUGSY DOUGHNUT 店主


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