第69期クイーン位 矢島 聖蘭さんー多摩市から日本一! 昨年17年ぶりの高校生クイーンが誕生しましたー
名人位・クイーン位決定戦とは、競技かるたの最高峰を決めるタイトル戦で、毎年1月、天智天皇を祀る近江神宮で開催されます。男性と女性それぞれの日本一を決め、前年の名人・クイーンと予選勝者が5回戦で対戦。先に3勝した選手が「名人位」「クイーン位」を獲得します。
矢島聖蘭さんは、2025年1月11日に行われた第69期クイーン位決定戦で、当時高校3年生でクイーン位を獲得しました。好きな札は「せをはやみ」。「せ」から始まる札は一枚しかなく、一字決まりと呼ばれる札です。名前「せいら」の「せ」と一致しているという個人的な理由もありますが、それ以上に歌の意味に惹かれます。「たとえ離れても、また一緒になれる」という内容で、小学生の頃に仲良くしていた同期2人との経験と重なります。中学校で一度離れましたが、高校で同じ学校に集まり、一緒に高校選手権を目指してかるたを取れたことが、この歌をさらに特別な札にしている理由です。
多摩市生まれの高校生クイーンが語る、努力と挑戦の歩み
かるたとの出会い、競技かるたの原点
小学5年生の頃、先にかるたを始めた姉の試合で、勢いよく札を払う姿を見て「かっこいい!」と思ったのが、かるたに惹かれた最初のきっかけです。本当は姉と一緒に始める予定でしたが、覚えることが大の苦手で、100枚も札を覚えることは無理だと泣き叫んで嫌がったほどです。それでも、試合を見て心が動き、挑戦する決意をしました。これまでにピアノ・テニス・体操など習い事をしていましたが、勝てなくなると「もういいかな…」と長く続きませんでした。そんな中で、かるたは最初から勝てることも多く、「自分はここで頑張るしかないのかも」と思いました。
これまで続けられた原動力
原動力となったのは、同期や友達に恵まれたことです。特に同じ学年のとても強い男の子に「負けられない」という気持ちは、自分の中でも大きな刺激になっていました。また高校時代に「一緒に頑張ろう」と励まし合った2人の友達が「クイーンになるところを見たい」「近くで応援したい」と言ってくれた言葉が、今も力になっています。
日々の練習・大会で大切にしていること
以前は練習でも勝つことにこだわっていましたが、高校2年生くらいからは「どこを磨くべきか」「何を直すべきか」を1試合ごとに振り返りながら練習しています。逆に大会本番は、かるたのことは考えないです。「勝ちたい」と考えすぎると、うまくいかなかった時にかえって気持ちが下がってしまうので、目の前の1枚に集中しています。いつも通りの自分で、日常生活の延長のようにリラックスして、「お腹すいたな」などと軽く考えるくらいで、大会では普通を演じています。
挑んだ第69期クイーン位決定戦を振り返って
最高峰のタイトルを取れるか逃すかの大会だったので、さすがに「お腹すいた」とは考えられなかったです(笑)
特に勝つことにこだわっていたので、本当に時間を忘れて、自分でもありえないくらい集中して札を暗記していました。先に25枚減らせば勝てるので、初心に帰って1枚ずつを意識して「25枚だけ、25枚だけ…」と自分に言い聞かせていました。勝った瞬間の気持ちは「クイーンだ!」ではなく、「やっと終わった」でした。憧れの場所でもあり誰もが目指す舞台だっただけにプレッシャーも大きく、やめたいと思った時期もありましたが、その苦しさを乗り越えたからこそ、最後の1枚を取った時は、重荷が一気に解放されたような感覚でした。クイーンになったと実感したのは勝利者インタビューの時で、言葉にした瞬間、嬉しさが込み上げてきました。試合を後から見返すと、1試合目は負けていて、「こんなに差がついていたんだ」と驚くくらい試合中は集中していることに気づきました。偶然にも最後に取った札は69番。「第69期クイーン」と同じ番号で、運命を感じました。
昨年、新たな注目を集めた競技かるた
映画『ちはやふる』のその後を描いたテレビドラマが昨年放送されました。実は、多摩市立武道館で開催された全国競技かるた多摩大会A級で2連覇し、東京都知事賞を受賞したことをきっかけにエキストラ出演しました。ドラマ化発表前に当時在学していた関東第一高等学校でキャストにかるた指導をしていたため、発表時にはすでに知っていて、放映が始まって周囲が驚く中で密かに喜んでいました。多摩市立武道館、聖蹟桜ヶ丘や多摩市役所など馴染みの場所が映っており、市民としても楽しく、誇らしい気持ちになりました。そして何より、これをきっかけに競技人口が増えてくれたら嬉しいです。たくさんの人がかるたを始めてかるたがプロ化されたら、競技者は「稼ぐ」こともできるようになります。そのためには、まず競技人口が増えることが不可欠。『ちはやふる』が多くの人をかるたの世界に導いてくれるのは、とてもありがたいことだと感じています。
クイーンとして、そしてこれから
1月11日㈰には第70期クイーン位決定戦が開催されます。「ずっとクイーンでいたい」という思いはありますが、不安もあります。それでも目標はクイーンであり続けること。大学生としては、大学選手権で慶應義塾大学(現在在学中)の連覇を果たしたいと思っています。
市民の皆さんへメッセージ
かるたは才能に関係なく強くなれる競技です。和服が好きな人は競技を通していつでも着物を楽しめます。小さい子は年上に勝てる楽しさもあり、静と動の切り替えがはっきりした頭脳スポーツならではの面白さもあります。多くの方が「小・中学生のときにやったことがある」と言いますが、自分も、もし姉の試合がなければ、ただの思い出で終わっていたかもしれません。どこにきっかけが潜んでいるかは分からないものです。だからこそ、少しでも興味を持ったら、ぜひ一度かるたに触れてみてほしいです。
※本インタビュー記事は、2025年に人間国宝に認定された渡辺 晃男さんへのインタビュー記事とともに、たま広報2026年(令和8年)1月1日号に掲載しています。
●渡辺 晃男さんのインタビュー記事(「丘のまち」)
●たま広報2026年(令和8年)1月1日号(市公式ホームページ)

第69期クイーン位 矢島 聖蘭さん














































