恵泉女学園大学
多摩センター駅前からスクールバスで約7分。
都立一本杉公園に隣接する恵泉女学園大学の緑豊かなキャンパスには、現在約900名の学生たちが通っている。構内にはイングリッシュガーデン、ローズガーデン、教育農場など、自然と静かに対話できる空間が広がっている。
2003年からは、多摩市との連携協定を締結し、多摩市立グリーンライブセンターで市民生活と園芸に関する公開講座を開設したり、花とみどりの相談コーナーを運営したりと、多摩市とのつながりも深い。
今回は、市内に住み、同大学で25年以上にわたって教鞭をとっている特任教授の岩佐玲子さんにお話を伺った。
多摩市ほど子育てしやすい土地はない
岩佐さんは1991年から教員として恵泉女学園大学に勤務し、主に教員を目指す学生の指導に当たっている。
多摩市には同大学への就職が決まった後に移り住んだという岩佐さん。4人の子どもを育てつつ、それまで10ヶ所ほど引っ越しを経験したが、多摩市ほど住みやすく子育てしやすい土地はなかったという。
「駅から続くペデストリアンデッキを歩けば、美しい公園を通って、車とすれ違うことなく帰ることができます。ゆったりとした町並みと自然豊かな環境が気に入っています。いつまでも住み続けたい街です」と、住民1人あたりの都市公園面積が都内でもトップクラスという多摩市は子育てもしやすかったそうだ。
ターニングポイントは地域ボランティアのコンサート
そんな岩佐さんは20年前に乳がんを患い、市内の病院に入院した。手術から数日後、地域のボランティアが演奏する院内コンサートがあることを知り、聴きに行ったという。
「点滴をつけたまま聴いたコンサート。降り注ぐ音が全身を優しく包み込んでくれました。音楽はこんなふうに人を癒すのだと知ったその時、もしも生きることができたら、私も誰かに音楽を届けたいと強く思いました」
絶望が希望に変わった瞬間だった。
その後、岩佐さんは、10年以上ケースにしまったままのギターを取り出し、地域の仲間とともにフォークユニット「☆アルビレオ☆」を結成。現在は、休日に病院や施設を訪問し、患者の方や利用者の方々に音楽を届けている。
人生の豊かさは人とのつながりから
岩佐さんが勤める恵泉女学園大学は、教授と学生の距離が近く、一人ひとりとの対話を特に大切にしている。そのために、自由に語り合う場が設けられている。
たとえばオフィスアワーと呼ばれる時間帯には、教授の研究室に学生たちがアポなしで様々な話をしに訪れる。また、毎週水曜午後は、フラワーエンジェルカフェという、自由参加のお茶の時間が設けられ、学長はじめ教職員や学生がお菓子を囲んで会話を楽しむひとときが設けられている。さらに、大学内には教職員の聖歌隊である「天使隊」が組織されていて、チャペルで音楽を分かち合うことで内的な対話が促される。
このような、同僚や学生たちと心を通わせ語り合い、共に生きていることを実感する機会が増えることで、仕事への意欲も自然に高まるそうだ。
現在、岩佐さんが担当している科目には「スクールインターンシップ」という体験学習がある。教員志望の学生が、週一回2時間ずつ、近隣の中学校で授業補助に入っていて、この経験は学生を大きく成長させているという。
「本物を見て気づくことは、学びの原点。授業の熱量や空気感など、ダイナミックな反応に学生の心は動きます。プロの仕事を間近で経験できる環境を与えると、学生はもっとプロに近づきたい、成長したいという意欲を高めます。それが、『自己教育力』の源泉なのです。その力が豊かに湧きでて、生涯に渡って学び、成長し続けられるよう、出来る限りのサポートをしていきたいのです」
将来的には、地域の方々とのつながりが学生の学ぶ喜びとなるように、市内で様々な仕事を経験できる「地域インターンシップ」にも取り組みたいと展望を語った。
多摩市に住み、働き、子どもを育て、地域活動を続けている岩佐さん。心穏やかに、生きがいをもって日々を過ごせるのは、地域の温かさと、職場の人間関係のお陰だという。現在は自身の歌声で病気の人々を癒すだけでなく、次世代の地域を担う人材を育てるべく日々、奔走している。
- 大学名
- 恵泉女学園大学
- 住所
- 東京都多摩市南野2-10-1
- URL
- http://www.keisen.ac.jp/
- URL(☆アルビレオ☆公式)
- http://www.sagamihara-eng.com/albireo/albireo.html