三丁目の家
聖蹟桜ヶ丘駅の近くを流れる大栗川に架かる新大栗橋から4分ほど歩くと、築70年の古い一軒家が見えてくる。
玄関の横に「多摩市関戸三丁目の家」と記されたこの長屋では、毎週金曜日になると多くの子どもたちが楽しく遊ぶ声が聞こえてくる。
今回は「三丁目の家」を運営する「くべーる会」代表の松尾 友起さんにお話しを伺った。
第3の居場所「三丁目の家」
松尾さんは1974年島根県生まれ。上京して大学卒業後、子どもたちと接する仕事がしたいという思いから保育系の学校を経て保育士に。以来、約30年に渡って多摩で保育士として従事してきた。
「いつか、フリースクールのような学校でも学童でもない、安心して過ごせる第3の居場所を作れたらいいなと思ってました」と話す松尾さん。
保育士の仕事を続けながら、職場の同僚や知り合った仲間たちと一緒に任意団体「くべーる会」を2022年7月に設立した。
地域の人々や「NPO法人コレクティブハウジング社」とともに、関戸三丁目にある「三丁目の家」を拠点に主に毎週金曜日にボランティアで活動している。
月に1回開かれるイベントは、松尾さんが活動の中で知り合った多彩なジャンルのプロによるワークショップなど、大人も子どもも楽しめるものばかりだ。
「鷹匠による鷹のふれあい体験や、講師の方をお招きして季節ごとに星空観察会を開催しています。今年の夏で3回目でした。イベントによっては100人以上が参加することがあります」(松尾さん)
地域の人々に貢献したいけれど、コロナ禍の3年間でそれが出来なかった方々とつながり、イベントとして一緒にコラボしているという。
取材に伺った日は、メキシコの歌や踊りが楽しめる「メキシコ祭り」を開催。「三丁目の家」の前を会場にメキシコの音楽を聴きながら、雑貨や食べ物を楽しめるイベントで、約80人以上が参加。松尾さんが先頭に立ってイベントを盛り上げていた。
子どもだけでなく、大人が集まれる場所を目指したい
他にも「くべーる会」のメンバーが持ち寄った文庫本や本を読み聞かせる「こども文庫」や、多摩市内の農家が育てた選りすぐりの新鮮な野菜を販売する「やさい市」を毎週開催。地域の人々に喜ばれている。
「くべーる会」で総務を担当する大橋 徹平さんは「単発のイベントだけでなく、日常的な地域とコミュニケーションできるつながりを両輪で作っていきたいと思ってます。今は子どもたちが中心のイベントが多いですが、今後は夜の時間を設けて、大人が集まれる場所も目指したいですね」と話した。
松尾さんは「今後は大家さんの許可を得て、DIYでリフォームすることを目標にしています。その過程で、いろいろな人を巻き込めればなと思っていて、いずれは『くべーる会』以外のいろいろな団体の方もこの『三丁目の家』をレンタルできるような、もっとオープンなスペースを目指していきたい」と今後の構想を語った。
「くべーる会」の名前の由来は焚火に薪を「くべる」から来ている。焚火に薪を
松尾さんをはじめ、参加者のみなさんが毎週集まり、イベントを続けることで街の新たな拠り所になってきている「三丁目の家」。
そこに訪れる人は皆、笑顔が溢れていた。
- 施設名
- 三丁目の家
- 住所
- 東京都多摩市関戸3-18-3
- 営業時間
- 15:30~18:00
- 営業日
- 毎週金曜日(年末年始をのぞく)
- URL
- https://kuberukai.wixsite.com/3cyoume