リニューアルした「ベネッセスタードーム」
多摩センターにあるベネッセコーポレーション東京本部オフィスの最上階(21階)に、プラネタリウム「ベネッセスタードーム」が今年2月にリニューアルオープンした。この施設は、1994年の竣工以来多くの人々を魅了してきたプラネタリウムが30年ぶりに生まれ変わった。
最新機器の導入とともにリニューアル記念番組「COSMIC CRUISE 大宇宙と私たち」の上映が開始され、星空をより魅力的に体験できる空間として注目を集めている。
今回はリニューアルに携わった、ベネッセコーポレーション東京本部の柏田 藤子さんにお話を伺った。
最新式のプラネタリウム投影機を導入
ベネッセスタードームは、1994年に当時の代表取締役社長・福武總一郎さん(現・ベネッセホールディングス名誉顧問)が「社員に、日常の制約を超えて宇宙的視野の体験をすることによって、新しい視点を獲得するきっかけにしてほしい」という想いからオープンしたプラネタリウムだ。
2023年の秋に福武名誉顧問から『2025年の創業70周年に向け、ベネッセスタードームをリニューアルしたい』との提案があったと柏田さんは話す。
「名誉顧問から『社員にもっと大きな視点を持って仕事をしてもらいたい』という想いからリニューアルの提案がありました。当初は投影機器の入れ替えのみを考えていましたが、名誉顧問から『番組も新たに作りたい』との申し出があり、少人数でプロジェクトを進めていきました」(柏田さん)
投影機器の選定にあたっては、星空のリアリティを最大限に追求しつつ、幅広い年代が楽しめる環境作りを重視し、コニカミノルタの最新鋭機器で超高輝度のLEDを採用した光学式プラネタリウム投影機「Cosmo Leap Σ(コスモリープ シグマ)」を導入した。さらに高輝度4K プロジェクターを採用した最新式のデジタル式プラネタリウム投影機「Media Globe Σ(シグマ) SE 4KTOL」の計2台を新たに導入し、満天の星空を再現している。
国内の最先端のプラネタリウムを視察・検討した結果、最終的に光学式の投影機を導入した。リアルな星空の再現に加え、星々の輝きや宇宙の広がりを繊細に表現し、観る人にまるで宇宙を旅しているかのような感覚を味わわせてくれる。
さらにプラネタリウムの最後方には寝転びながら鑑賞できる「ねころびシート」を新設。一番良い席をひとり占めできる特別なスペースは鑑賞料金にプラス2,000円で6名まで利用できるとあって好評を得ている。
ディレクターは午後正午さん、ナレーションは津田健次郎さんが担当
新たなプラネタリウム番組『COSMIC CRUISE 大宇宙と私たち』は、機器の選定と並行して制作が進められた。この番組は、福武名誉顧問の意に沿う番組が見つからなかったことから、福武名誉顧問自身が総合プロデューサーを務めて『大宇宙と私たち』をテーマに新たに制作された。
番組の演出を担当したのは、人気YouTuberであり科学系クリエイターとしても高い評価を受ける午後正午さん。午後さんの独自の世界観とストーリーテリングは多くのファンを魅了しており、福武名誉顧問がその動画に魅了されたことが、今回の起用につながった。
福武名誉顧問と午後正午さんを含めた初回の打ち合わせでは、福武名誉顧問のリクエストに午後さんが全て応えてくれて、その膨大な知識量に、スタッフ全員が驚かされたという。
「宇宙への関心と星空の美しさや壮大さをただ説明するのではなく、文章だけではなかなか伝わりづらい宇宙の歴史や現象をCGで映像化することで分かりやすく伝えることができます。福武の熱意・企画力と午後正午さんの独自の視点と演出が、このプラネタリウム番組の大きな魅力です」と柏田さんは話した。
新番組のナレーションを担当したのは、人気声優の津田健次郎さん。その低く響く声と表現力豊かな語り口が、プラネタリウムの世界観をさらに深めている。
「津田さんの声には奥行きがあり、宇宙の神秘や壮大さを伝えるのにぴったりでした。アフレコ収録では、台本の一言一言に細やかなニュアンスを込めていただき、まさに“語りかけるような”ナレーションになっていて、私自身も世界観に入りこみました」(柏田さん)
穏やかさと力強さを併せ持つ声は、聴くだけで心が落ち着くような癒やしを感じさせる。多摩市外をはじめ、都外からも津田さんのファンが足を運び、話題となっているそうだ。
特別な体験を届けるベネッセスタードーム
リニューアルしたベネッセスタードームは幅広い世代から好評を得ていて、『COSMIC CRUISE 大宇宙と私たち』を鑑賞した方からは早くも続編を望む声が上がっているそうだ。今後は子どもから大人まで、この場所ならではの体験イベントなどの開催も検討しているという。
「最新の機器と音響設備を導入して星空の魅力にじっくり浸ることができます。子どもから大人まで楽しめる内容ですので、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいですね」(柏田さん)
ベネッセスタードームは、最先端の技術とクリエイターたちの手によって生まれ変わった。物語性のある映像と心に響くナレーションが星空の投影と融合し、訪れる人々に忘れがたい感動をもたらす特別な体験を届ける。いま分かっている「宇宙」を伝える場として、これからも多くの人々を魅了していくことだろう。
- 施設名
- ベネッセスタードーム
- 住所
- 東京都多摩市落合1-34 ベネッセコーポレーション東京ビル21階
- 営業日
- 一般公開日:主に土・日・祝 団体公開日:火・水・金(祝日は除く)
- 休館日
- 月・木(祝日の場合はその翌日)、年末年始
- 料金
- おとな(高校生以上) 600円、シルバー(65歳以上) 300円、こども(中学生以下) 300円 ※膝上のお子様は無料
- URL
- https://stardome.benesse.co.jp/
公開日
令和7年3月28日