生まれ変わったケトルドラム
2020年11月に惜しまれつつ閉店した聖蹟桜ヶ丘の老舗コーヒーハウス「ケトルドラム」が、今年4月30日にリニューアルオープンした。
今回は同店の新たな店主、棚沢正義さんと永子さん夫妻にお話しを伺った。
閉店からリニューアルまでの経緯
「ケトルドラム」については、以前の「丘のまち物語」でも取り上げたことがある。先代の店主、祖母井春子さんが昭和58年(1983年)から37年に渡って続けてきた老舗コーヒーハウスだ。
しかし、祖母井さんは去年秋頃から体調を崩し、これまでのように体を動かすことが難しくなったことから閉店を決意。祖母井さんのご主人の姪にあたる棚沢永子さんとご主人の正義さん夫妻が閉店後、片付けなどを手伝ったという。
永子さんは「この店はオープン当初から時々顔を出していたんです。なんとなく憧れみたいなものがあって、以前から『いつかお店をやってみたいね』という話は出ていました。でも、まさかほとんど準備期間もなくそうなるとは」と話す。
正義さんは「できれば春子さんが元気なうちに、いろんなことを教えてもらいながら、引き継げないかなと考えていました。片付けや手続きを調べているうちに、このまま店を閉めちゃうのはもったいないからやってみようかと」と閉店からリニューアルまでの経緯を話した。
新たなメニューも
店のメニューは先代直伝のコーヒーはもちろんのこと、おかかピラフやベーコンエッグサンドなど、以前のお店のメニューをほぼ踏襲している。
そうした中、先日からは新たにチーズケーキがメニューに加わった。試作を何度も重ね、先代の祖母井さんからもお墨付きをいただいたというチーズケーキは濃厚な味わい。深煎りのブレンドコーヒーとの相性も最高だ。
正義さんは「店を始めたのは緊急事態宣言中でした。緊急事態宣言中じゃない平時の期間の方が短いので、もっとお客さん来るのかな?とちょっと不安になります。ただ、少ないなりに必ず来てくれるお客さんもいて『また来るね』と言っていただけたり、営業日に毎日来てくれる人もいるので、やっていて楽しいし、やりがいも感じています」と開店して数ヶ月経過した感想を話した。
音楽と本とコーヒーが楽しめるお店に
店の内装は、以前のお店の雰囲気を受け継ぎながらもリフォームにより、新たな装いに生まれ変わった。
以前と違う特徴は大きく2つ。ひとつは正義さんが音楽や楽器が子どもの頃から好きだったことから、店内の一角に電子ピアノとギターが飾られていて、お客さんも気軽に弾くことができるという所だ。最近はお客さんと一緒にセッションすることが楽しみの一つだという。
もう一つは、永子さんが以前から編集など書籍関係の仕事に携わっていて、2017年には「東京の森のカフェ」を出版するなど、書籍の執筆も手掛けていたことから、店内には福岡の出版社「書肆侃侃房」の新刊本や古本などを展示するコーナーを設置している。コーヒーを飲みながら本を読めるとあって、本好きのお客さんに好評を得ているそうだ。
正義さんは「この店の特徴を出せるのは、本と音楽とコーヒーなので、そこを前面に出せればいいかなと。自分たちが面白くないとつまんないので、やりたいようにやってます」と話すと、永子さんは「皆さんが楽しかったねと言ってくださるような、居心地が良い時間だったと思えるようなお店になるといいですね」とお店の今後について抱負を話した。
37年続いたコーヒーハウス「ケトルドラム」は、先代の姪夫婦によって引き継がれ、新たなスタートを切った。おいしいコーヒーに「音楽」と「本」が加わることで、店の歴史に新たな音色が加わることだろう。
- 店舗名
- ケトルドラム
- 住所
- 東京都多摩市関戸2-24-10
- 営業時間
- 11:00~18:00
- 営業日
- 木、金、土
- 電話番号
- 090-9105-2664
- URL
- https://kettledrum2021.wixsite.com/cafe
- https://twitter.com/kettledrum2021