1. このページをSNSで投稿する:
  2. Twitter
  3. Facebook
vol.19

諏訪2丁目住宅マンション建替事業(Brillia多摩ニュータウン)

合言葉は「安心して住み続けられる街づくり」

 多摩市諏訪2丁目。京王線・小田急線の永山駅からほど近いこの場所に、大規模マンション「Brillia多摩ニュータウン」は建っている。総戸数1,249戸のこの巨大なマンションは単なる新築のマンションではない。かつて、多摩ニュータウンで最初期の入居物件であった諏訪2丁目住宅の建替えにより2013(平成25)年に誕生した新しいマンションである。日本最大のマンション建替えとされるこの事業を成功に導いた1人である、加藤輝雄さん(元 諏訪2丁目住宅マンション建替組合理事長)にお話を伺った。

この場所に住み続けるための選択

 「諏訪2丁目の建替えは住民運動です。住民パワーで街づくりを成し遂げたことが特徴です。」と加藤さん。一般的には建物の老朽化や耐震の問題、住人の高齢化に伴うバリアフリー化への対応などがマンション建替えの動機となるが、諏訪2丁目住宅では、こうした課題が顕在化する以前の、築20年にも満たない早い時期から建替えの検討が始まったのだという。ではなぜ、建替えを検討するようになったのだろうか。その答えは多摩ニュータウン建設の背景にあった。
 かつての諏訪2丁目住宅は、総戸数640戸の分譲団地として1971(昭和46)年に完成した。当時は、東京圏の人口増加に伴う住宅不足に緊急に対応するために、標準的な間取りの住宅を大量に供給することが最優先という時代で、1戸あたりの面積はすべて48.85平米であった。「入居者の多くは当時30〜40歳代で、子どもが成長していくうちに、もっと広い住居を望むようになってきました。しかし、経済的にすべての住人がライフステージにあわせて住み替えていく、いわゆる“住宅すごろく”のようにはいかないので、将来のことも考え、この場所に住み続けるための選択肢として建替えも含めた検討を始めました。」加藤さんは建替え検討のきっかけをこう語る。

20年間に渡る地道な活動

 こうして始まった建替えの検討だったが、住民たちの前に法律という大きな壁が立ちはだかる。「多摩ニュータウンは計画的に造られた街であるがゆえに、法規制が厳しく、建築条件を定める都市計画に関する法律を変えない限り、増築や建替えが実現できないという状況でした。当時はまだ多摩ニュータウンの建設も途上ということで、法律を変えてほしいと陳情しても、聞き入れてもらえない状況でした。」加藤さんたちはこうした状況を踏まえながらも、住民主体の街づくりを実現するために、規制緩和を訴え続ける地道な活動を続けた。ようやく転機が訪れたのは2006(平成18)年のこと。諏訪地区の地区計画が都市計画決定され、建替えに向けて大きく前進した瞬間だ。「諏訪2丁目住宅の建替えは20年かかったと言われますが、法律を変えるのに15年かかったんです。捉え方を変えれば、法律のハードルが高かったがゆえに、住民が時間をかけていろんなことを考えることができたとも言えます。」加藤さんはこう振り返る。
 マンションの建替えでは、一般的に、住民の「合意形成」がハードルとなることが多い。諏訪2丁目住宅のケースでは、検討を始めた当時、建替えの実現には所有者全員の合意が必要という厳しい法的な制約もあった。その後、2002(平成14)年に法改正により条件が緩和され、8割の合意で建替えられるようになったのだが、管理組合の姿勢はこうだった。「法的には8割で良いと言っても、諏訪2丁目住宅640世帯のうち120世帯が反対しても建替えできてしまうことになります。でも、これでは社会問題だと考えたので、限りなく100%に近いところまで合意を取ることを基本姿勢に、全住民が納得するまでとことん話し合いをしました。」加藤さんたちのこうした粘り強い取り組みにより、住民の意識も段々と高まり、最終的には99%以上の賛同を得たのだという。住民の総意としての建替えが決定し、街づくりの段階へと進んでいく。

住民のアイデアで街をつくる

 「建替えは当初からスクラップアンドビルドではなく、街づくりを目指しました。住民が主体的、自発的に参加してこの街をつくったという自負があります。」加藤さんは強調する。街のプランニングに際しては、「まちづくりデザイン会議」を立ち上げ、住民に加えて大学教授などの専門家や行政も参画し、景観や自然環境、周辺環境にも配慮した設計となるように綿密に検討した。こうした地域貢献・地域開放の姿勢は近隣住民の理解と期待にもつながっていった。共用施設についても住民の要望を随所に取り入れ、例えばパーティールームのキッチンでは、調理台の高さひとつを取っても、女性たちが相談して決めたという。「10年・20年先を見据え、住民のアイデアで快適に暮らせる街を設計しました。この街づくりが希望となり、元気になった住民もいるんですよ。」と加藤さん。人と人をつなぐコミュニティスペースをはじめ、自然と調和した環境を活かしながら配置された広場やドッグラン、農園、さらにカーシェアリング、レンタサイクルなど、誰もが快適に暮らし、楽しむことができる工夫が盛り込まれているようだ。

これまでもこれからも住民が主役のこの場所で

 「駅に近く、都心部へも電車で30分と利便性が高い上に、緑も豊富で住環境として素晴らしい。もちろんコミュニティも良好。ここは本当に素敵なところ。」と、この地域への愛着も建替え成功の大きな要因だという。諏訪2丁目住民のこの地域への愛着度が高いことを裏付ける事実がある。通常、マンションの建替えでは、建替え期間の仮住まいでの生活などを煩わしく感じ、他の地域に引っ越してしまう人も少なくないというが、諏訪2丁目住宅では、8割以上の住民が、建替え後のマンションに戻り住んでいるというから驚きである。また、住民同士の関係、コミュニティという点でもとても良好だといい、建替え後に新たに入居した600世帯の住民も含め、世代別の交流会や四季折々の行事が頻繁に繰り広げられる。住民によるサークル活動も30を数えるというから恐れ入る。「コミュニティで大事なのは誰でも参加できる仕組みです。それが達成感にもなり、良好な人と人の関係構築にもつながっていくんです。」加藤さんはにこやかに語る。平日の昼間にも関わらず、パーティールームには集まり談笑する人たち、敷地内の広場を駆け、斜面を活かしてそり遊びをする子どもたち、その傍らでやさしく見つめる親、そしてお年寄りたち。まさに住民が主役という言葉を表す、活気に満ち溢れた光景がこの場所には広がっている。
 Brillia多摩ニュータウンの「まちびらき宣言」の最後に特に象徴的な一文がある。“私たちは、願いや希望を実現するために努力することが人間の素晴らしさだということを学んできました。共に希望を共有し、このまちを育んでいきましょう。”
 加藤さんたち住民が主役のこの街の伝統は、これからも引き継がれていくことだろう。

加藤 輝雄さん

元 諏訪2丁目住宅マンション建替組合理事長


丘のまち物語/INTERVIEW ISSUE

多摩で暮らす人たちに軸を据えて、その暮らしぶりや思いなどを語ってもらいます。

珈琲屋 黒子 

貝取北センター商店街の一角にあるスペシャルティコーヒー専門店『珈琲屋黒子』今回は『珈琲屋黒子』の店主 尾籠一誠 (おごもりいっせい)さんにお話を伺った。
...read more

「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」と「ゆぎ書房」 

関戸公民館で開催された「ラスカル子ども映画祭(多摩市 ✕ (株)日本アニメーション共催)」では、「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」の『まっくらやみのかいぶつ』アニメーションのスクリーン上映とそれに合わせて読み聞かせが行われ、多くの親子連れで賑わった。今回は「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」の日本語版を出版する「ゆぎ書房」代表の前田君江さんにお話しを伺った。
...read more

三丁目の家 

玄関の横に「多摩市関戸三丁目の家」と記されたこの長屋では、毎週金曜日になると多くの子どもたちが楽しく遊ぶ声が聞こえてくる。 今回は「三丁目の家」を運営する「くべーる会」代表の松尾 友起さんにお話しを伺った。
...read more

中央図書館× 丸善 開館記念スペシャル対談 

多摩市立中央図書館オープニング記念企画。多摩市立中央図書館の館長・横倉妙子さん、丸善 多摩センター店の店長・中西慶太さんと一緒に新しい中央図書館内を巡ります。
...read more

せいせきカワマチ 

多摩市との連携協定に基づき聖蹟桜ヶ丘駅近くの多摩川河川敷(一ノ宮公園よこ)に整備された芝生広場「せいせきカワマチ」を運営管理する「一般社団法人 聖蹟桜ヶ丘エリアマネジメント」事務局の宮原優人さん、山﨑瞭佑さんにお話を伺った。
...read more

多摩ニュータウン育ちの一級建築士・小野澤裕子さん 

落合の団地で育った小野澤裕子さんは、多摩市を中心に多摩ニュータウンで活躍する一級建築士だ。 昨年、長年両親と住むご自宅をバリアフリーにリフォームしたことで、多摩ニュータウンの魅力を再確認したという。 今回は多摩ニュータウン育ちの一級建築士、小野澤裕子さんにお話しを伺った
...read more

多摩市在住のパラリンピアン・東京2020パラリンピック 5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表、黒田 智成選手 

東京2020パラリンピック競技大会が無事閉幕した。多摩市在住の黒田 智成選手が大会期間中3得点をあげ、日本の勝利に大いに貢献したことは記憶に新しい。今回は2002年からブラインドサッカー男子日本代表として活躍する黒田 智成選手にお話しを伺った。
...read more

生まれ変わったケトルドラム 

2020年11月に惜しまれつつ閉店した聖蹟桜ヶ丘の老舗コーヒーハウス「ケトルドラム」が、今年4月30日にリニューアルオープンした。今回は同店の新たな店主、棚沢正義さんと永子さん夫妻にお話しを伺った。
...read more

HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ) 

聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて約7分、多摩川の近くの路地を進むと一軒の古民家が見えてくる。ここは土日祝日限定で開いているドーナツ専門店「HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ)」だ。今回は店主のまつかわひろのりさんにお話しを伺った。
...read more

ZIKICO(ジキコ) 

味を変えないスプーンやフォークなどのカトラリーを作る会社が多摩市にあるのをご存知だろうか。「ジルコニア」という鉱物由来のセラミックに特化したプロダクト「ZIKICO」(ジキコ)を作る株式会社ZIKICOの代表取締役、山瀬光紀さんにお話しを伺った。
...read more

堀内文翔さんとリアルタイムクーポンアプリ 

多摩市には飲食店を支援しようと奮闘する中学生がいる。今回は鶴牧在住の中学生、堀内文翔(ほりうち あやと)さんにお話しを伺った。
...read more

東京都立多摩桜の丘学園とボッチャ 

多摩市聖ヶ丘にある東京都立多摩桜の丘学園では、来年に延期された東京2020パラリンピックの正式競技「ボッチャ」の魅力を発信し、地域の新たな取り組みとして注目されているのをご存知だろうか。今回は同学園の高等部主幹教諭、高橋幹基さんにお話しを聞いた。
...read more

リカーMORISAWA 

多摩市の東寺方に江戸時代末期から続く「森沢商店」その昔、「國見世」という屋号で様々な商品を販売し、戦時中は国からの配給所としての役割もあった同店は、現在「リカーMORISAWA」として、店舗での販売とともにインターネット上で世界中のワインを届ける店の草分け的な存在として、多くのワイン愛好家の支持を得ている。
...read more

メガネ食堂BAR(スタジオメガネ) 

多摩ニュータウンの落合団地商店街にある設計事務所の一部をつかった「メガネ食堂BAR」。今回は同店を手掛ける設計事務所「スタジオメガネ」代表の横溝惇さんにお話しを伺った。
...read more

ケトルドラム 

聖蹟桜ヶ丘の駅前の聖蹟Uロードから1本入った路地で37年続く喫茶店「ケトルドラム」の店主、祖母井春子さんとご主人の洋さんにお話しを伺った。
...read more

たまロケーションサービス 

多摩市のフィルムコミッション「たまロケーションサービス」代表の柴田 孝司さんと副代表の鳥居 俊平太さんにお話を伺った。
...read more

KAOFES 

今年で6回目となる「KAOFES(カオフェス)」の実行委員長を務める石山弘明さんにお話しを伺った。
...read more

apricot(アプリコット) 

南野の恵泉女学院大学の正門前にある人気のコッペパン専門店「apricot(アプリコット)」さんにお話しを伺った。
...read more

ベジフルキッチン トレーノ・ノッテ ※現在は閉店しています 

多摩センターにあるレストラン「べジフルキッチン トレーノ・ノッテ」を経営する㈱サニーワークスさんにお話しをお伺いした。
...read more

Kitchen SUNNY HEART 

京王•小田急多摩センター駅から徒歩10分のところにあるkitchenSUNNYHEART
...read more

未知カフェ ~TAMA REVIVAL~ 

多摩市の若者世代による新たなまちづくりの拠点「未知カフェ ~TAMA REVIVAL~」が2月23日にオープンした。
...read more

多摩市発のユニークなオリジナル文房具&雑貨「geodesign(ジオデザイン)」 

ユニークなオリジナル文房具や雑貨を生み出している(株)ジオさんにお話をお伺いした。
...read more

コワーキングCoCoプレイス 

「子どものそばで仕事がしたい」そんな思いを実現できる場所が多摩市にある。
...read more

サテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」※移転前の記事です 

「働き方改革」が叫ばれている昨今、京王プラザホテル多摩2階にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」がオープンした。
...read more

MUJI × UR団地リノベーションプロジェクト 

団地の新しい住み方「MUJI × UR 団地リノベーションプロジェクト」のご担当者にお話を聞きました。
...read more

ハロウィン in 多摩センター 

多摩センターの秋の風物詩「ハロウィン in 多摩センター2018」が今年も開催される。
...read more

Patisserie Boulangerie toi toi toi 

聖蹟桜ヶ丘駅を出て徒歩3分ほどの場所にあるPatisserie Boulangerie toi toi toi。
...read more

永山フェスティバル 

21回目を迎える「永山フェスティバル」が2018年9月22日(土)と23日(日)の2日間で開催される。
...read more

恵泉女学園大学 

多摩センター駅前からスクールバスで約7分。そこには、自然と静かに対話できる空間が広がっている。
...read more

多摩市若者会議 

多摩市では「多摩市若者会議」を昨年度より開催している。
...read more

桜ヶ丘ゴルフ練習場 

桜ヶ丘カントリークラブの隣にゴルフ練習場があるのをご存知だろうか。
...read more

せいせき桜まつり 

37回目を数える聖蹟桜ヶ丘の春の風物詩「せいせき桜まつり」が去る4月8日に開催された。
...read more

多摩市出身のJリーガー・東京ヴェルディ 田村直也選手 

多摩市をホームタウンとするサッカーJリーグクラブ「東京ヴェルディ」には多摩市出身の選手が活躍している。
...read more

杖道とアート 

400年以上前から続く、杖道(じょうどう)という武道があるのをご存知だろうか。
...read more

多摩センターイルミネーションのもみの木 

パルテノン大通りには高さ12mのクリスマスツリーが設置され、多くの人々を魅了している。
...read more

京王プラザホテル多摩 ※営業終了しています 

今年創業27年を迎えた多摩センター駅前の京王プラザホテル多摩には
...read more

聖蹟サンタマラソン 

「聖蹟サンタマラソン」が2017年12月17日(日)に聖蹟桜ヶ丘の一ノ宮公園で開催される。
...read more

せいせきみらいフェスティバル 

今年で3回目となる「せいせきみらいフェスティバル」が2017年9月17日(日)に開催される。
...read more

E’s CAFE 

日本初の障がい者就労で運営するスポーツバー「E's CAFE」がオープンした。
...read more

TAMA映画フォーラム実行委員会 

「映画祭 TAMA CINEMA FORUM」は今年で27年目を迎えた。
...read more

京王ほっとネットワーク移動販売 

多摩ニュータウンのエリアのお買い物をサポートする移動販売車をご存知だろうか?
...read more

J Smile多摩八角堂 

豊ヶ丘にある「J Smile多摩八角堂」が賑わいを見せている。
...read more

新倉農園 

美味しい苺やブルーベリーの味覚狩りと体験農園が楽しめる新倉農園
...read more

ネコサポ 

「ネコサポ」というお買い物や家事の代行サービスをご存知だろうか?
...read more

ウルトラランナー井上真悟さん 

多摩市には常に過去の自分を越えようとする世界的なランナーがいる。
...read more

moi bakery 

天然酵母のハード系パンが人気の豊ヶ丘「moi bakery」
...read more

コンティ多摩センター ※営業終了しました 

コンティ多摩センターはこれまでの公民館や生涯学習センターとは一線を画した会員制の複合施設だ。
...read more

京王多摩センター駅 武田阿沙美さん 

京王多摩センター駅は今年3月からサンリオとのコラボで駅全体が大きく様変わりした。
...read more

ル・ププラン 

「ル・ププラン」では、素材にこだわったフレッシュなケーキを提供している。
...read more

Pizzeria La.Pala 

「ラ・パーラ」では、地場野菜を使った本格的なナポリピッツァやパスタなどが頂ける。
...read more