木のおもちゃ チッタ
おもちゃを通して楽しい時間を過ごしてほしい
緑と公園が多くて、子育てしやすい街
若い頃、保育士として働いていた横尾さんは、20代後半に「ワーキングホリデー」の制度を使って一年間オーストラリアに滞在していた。最初の半年間はメルボルンでホームステイをして、その後は各地の「WWOOF」(ウーフ)と呼ばれるファームステイシステム(農場で無料で働く代わりに食事と宿泊の面倒をみてもらえる)を転々としながら、ボランティアで保育園のお手伝いなどをさせてもらっていたという。
日本へ帰国してから、仕事先で知り合ったご主人様と新生活を始める際に、「緑と公園が多くて、とても子育てがしやすい街らしいよ」と説明をされて、多摩市に住むことをご夫婦で決められた。
「自宅でおもちゃ屋」を開店
ある程度子どもが大きくなったら保育士として職場に復帰しようと思っていた横尾さんは、「おもちゃコンサルタント」の資格を修得していた。
小さな頃から実家のお母様がフルタイムで働いているのを見てきたので、横尾さんには「子どもがいても女性が手に職を持つのは当たり前」という思いがある。一年半かけて「おもちゃコンサルタント」の資格を取る中でおもちゃについてより詳しく学びながら、子ども同士、あるいは親と子ども、祖父母と孫という関係性の中でおもちゃが大切な“コミュニケーションツール”として、子どもが持っている力を引き出してくれることを実感したという。
そんな中、「自宅の一室を解放して、直接、触って遊べる木のおもちゃ屋を開こう」と閃いて、まずは“予約制”でお客様を迎えるようになった。お店を開いて木のおもちゃの魅力を伝えると共に、「子育てに悩んでいるお母さんたちにおもちゃを紹介する中で、その人たちの助けになりたい」という思いが強くあったのだという。
実際に「木のおもちゃ チッタ」を開いた時には彼女自身が子育てに行き詰っていたという。親元は遠く援助も頼めない上に、近所で仲良くなった友達はほとんどが職場に復帰していたのだ。
最初の3年間くらいは“予約制”のみの開店にして、同時に「おもちゃコンサルタント」としての資格を活かして児童館などで「おもちゃの遊び方講座」などを開催していた。そして下のお子さんが幼稚園に入園をしたのをきっかけに現在の「週一回開店」のスタイルに落ち着いたのだという。
子どもたちには“働くことの大切さ”を学んでほしい
自宅で「木のおもちゃ チッタ」を開店した当初、パートナーであるご主人様はほとんど協力してくれることはなく、むしろ反対していたという。それが今では「モノ・コト市」を始め各種週末のイベントの開催やその準備などにも積極的に関わってくれる様になり、彼女にとっての良き理解者となっている。
横尾さんが自宅での開店や地域での活動にこだわっているのは、自分の子どもたちの傍で働きたいのと、自分の子どもたちに仕事をしている母の姿を見せたいからだという。
「モノ・コト市」の開催
横尾さんの活動は「木のおもちゃ チッタ」の開店と地域での講座の開催に止まらず、さらに広範囲に広がっていった。
2010年には多摩市の諏訪団地内にある「諏訪商店街」の「オーガニック市」に出店。そこで知り合った「くりちゃんの店」と、通販の輸入の酒屋「リスモール」を自宅に招いて3店舗合同の市を3回ほど開催した。この時は近隣の住民だけでなく、口コミで遠方からもお客様が来て下さったという。
その後、永山駅近くにある「永山ハウス」にて第一回目の「モノ・コト市」を開催した所、さらに多くの出店希望者とお客様が集まった。「モノ・コト市」は多い時には2か月に1度のペースで回を重ね、2014年12月末現在で全18回の開催を果たした。地域で「モノ・コト市」を開催しているのは「心とからだを地域で育む」のがモットーだという。
「今後はボードゲームなどを使って、子ども同士のゲーム体験会なども開催したい」など横尾さんの夢は膨らばかりで、その夢が叶えられる日もそう遠くはあるまい。
- 店名
- 木のおもちゃ チッタ
- 住所
- 〒206-0001 多摩市和田746-57
- 連絡先
- 042-389-5507
- 営業日
- 水曜日・第一土曜日(他の曜日は要予約)
- お店
- http://www.geocities.jp/chitta_toy/
- モノ・コト市
- http://www.mono-koto.jp/projects/market.html