1. このページをSNSで投稿する:
  2. Twitter
  3. Facebook
vol.9

ル・ジャルダンブルー

テーマは「一生勉強、一生青春」

小さな頃から職人に憧れていた

 石川県出身の福田さんは小さな頃から身近に“もの作り”をする人が多く、自然と職人への憧れが強くなったという。また幼少の頃から母親が料理やお菓子を作るのを手伝っている内に「将来はコックさんかお菓子やさんになりたい」と願うようになった。
 高校の調理科を卒業した後、大阪にある「エコール 辻」本校に入学をして1年かけて調理やお菓子作り全般について学んだ。「エコール 辻」本校を卒業してからは5~6年の間に東京や神戸にあるフランス菓子店数店を回って修行を積むと共に、フランス菓子について基礎から学んだ。数年ごとにお店を変わったのは、シェフによってお菓子に対する考え方や方向性などが異なる上に、ケーキやチョコレート菓子、パンなどの作り方に違いがあって多様性を学べるからだという。

フランスでの2年半の修行

 30代半ばには渡仏して、フランス菓子の本場で研鑽を積んだ。その際に「給料はいらないので、住み込みで修行をさせてほしい」とお店に頼んで、2年半で3店舗を回った。フランスへ渡った理由は何よりも「世界を代表するパティシェのレベルを知りたかったから」だという。そして自分のお店を出店する前に「フランス菓子の本場を見ておかなければ」という思いもあったという。
 同様に「フランス語を話せずして、フランス菓子については語れない」という思いから、現在も多摩市永山の「カルチャーセンター」でフランス人講師からフランス語を教わると共に、フランス人全般の考え方も学んでいるという。フランスについて学べば学ぶほど「今まで以上に勉強したくなる」と言う福田さんは、子どもの頃には「学校も勉強も嫌いだった」というのだから人生は面白い。

「世界大会」へ出場を果たして

 フランスから帰国した福田さんが次に目指したのはコンテストへの出場だった。2001年の全国大会の決勝戦では“チョコレート”部門で優勝を果たして、同じ様に“アメ細工”部門と“氷細工”部門で優勝した2人とチームを組んでフランスへ渡り、お菓子のワールドカップとも呼ばれる「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」へ出場をして、リーダーとして見事、チームを準優勝に導いた。
 この時のテーマは「アムール」(愛)で、たった一人で約9時間かけて高さ1mにも及ぶハート型のチョコレートのオブジェを製作した。大会当日を振り返って「人生で一番辛くて、長く苦しい一日でした」と語る福田さんは、準優勝が決まった時は喜びよりも疲労感と安堵感の方が大きかったという。

“フォンテンブロー”の森に憧れて

 パリの中心地にある「ガール ド リヨン」駅から電車で30分位行った所に“フォンテンブロー”という山と緑に囲まれたパリ郊外の街がある。福田さんはフランスへ留学していた際にこの街のケーキ屋さんで修行をしていて、お店併設のカフェは地元の人たちの憩いの場となっていたという。
 フランスから戻った福田さんは休日になると、都心や下町を中心に自分のお店の出店場所を求めて歩き回っていた。ある時、知り合いの紹介で訪れた多摩市永山の地に足を運んだ時、トンネルの向こうの緑に囲まれた風景を目にして「ここはまるで“フォンテンブロー”の森の様だ」と感動すると共に、この地にお店を開くことを決意したのだという。
 店名の「ル・ジャルダン・ブルー」は「青い森」という意味で、多摩市の緑豊かな風景のイメージともよく合っているが、実はこの店名を思いついたのはフランスへ留学していた時のことだという。

「一生勉強、一生青春」

 現在、お店では一年を通して、平日には約40種類のケーキを、そして週末には約50種類のケーキを提供している。その内“記念日”をお祝いする為のホールケーキは約20種類で、福田さんは「記念日といえば、自然とうちのお店を思いだしてもらえるようになりたい」という。またケーキの他に焼き菓子も常時、50種類ほど用意している。
 スタッフは現在12名で、そのまとめ役であるオーナーシェフの福田さんは、毎朝4時台には出勤をしてケーキの仕込みに入り、夜の20時か21時くらいまで働き続けている。若いスタッフの中にはフランス帰りのメンバーもいて、逆に彼らから最先端の道具やテクニックなどを教わることも多いという。
 常に時代に追いつこうと努力する福田さんの座右の銘は「一生勉強、一生青春」というものだ。そんな福田さんの目指す未来は「自分のお店を東京ひいては日本を代表するケーキ屋にしたい」というもので、その静かな口調には並々ならぬ決意を感じると共に、この人ならいつか自分の夢を実現させるに違いないと思わせる何かがある。

店名
ル・ジャルダン・ブルー
住所
〒206-0014 多摩市乞田1163
連絡先
042-339-0691
営業時間
10:00 – 20:00
定休日
火曜日
オーナーシェフ 福田雅之

犬が大好きな福田さんは昨年から犬を飼いだした。折りを見て、愛犬を散歩に連れて行くのが何よりの楽しみだという。


丘のまち物語/INTERVIEW ISSUE

多摩で暮らす人たちに軸を据えて、その暮らしぶりや思いなどを語ってもらいます。

tomoto -子どもと地域のためのカルチャースペース(落合団地)- 

2024年7月に多摩市・落合団地商店街の一角にオープンした、子どもと地域のためのカルチャースペース『tomoto』。今回は『tomoto』を運営するNiEW株式会社の代表 柏井 万作(かしわい まんさく)さんにお話を伺った。
...read more

旧多摩聖蹟記念館(多摩市指定有形文化財) 

多摩市連光寺に所在する都立桜ヶ丘公園内に確かな存在感を放ち建っている「旧多摩聖蹟記念館」。今回は、「旧多摩聖蹟記念館」学芸員の澁谷 朋恵(しぶや ともえ)さんにお話を伺った。
...read more

多摩のローカルヒーロー「バスターフラッシュ」 

多摩市内の福祉施設で働く職員たちが情熱と創意工夫で作り上げたローカルヒーロー「バスターフラッシュ」。 今回はチームバスターフラッシュ代表の萩野元さんと、橋本眞矢さんにお話を伺った。
...read more

珈琲屋 黒子 

貝取北センター商店街の一角にあるスペシャルティコーヒー専門店『珈琲屋黒子』今回は『珈琲屋黒子』の店主 尾籠一誠 (おごもりいっせい)さんにお話を伺った。
...read more

せいせきカワマチ 

多摩市との連携協定に基づき聖蹟桜ヶ丘駅近くの多摩川河川敷(一ノ宮公園よこ)に整備された芝生広場「せいせきカワマチ」を運営管理する「一般社団法人 聖蹟桜ヶ丘エリアマネジメント」事務局の宮原優人さん、山﨑瞭佑さんにお話を伺った。
...read more

「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」と「ゆぎ書房」 

関戸公民館で開催された「ラスカル子ども映画祭(多摩市 ✕ (株)日本アニメーション共催)」では、「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」の『まっくらやみのかいぶつ』アニメーションのスクリーン上映とそれに合わせて読み聞かせが行われ、多くの親子連れで賑わった。今回は「アイスランドのかいぶつ絵本シリーズ」の日本語版を出版する「ゆぎ書房」代表の前田君江さんにお話しを伺った。
...read more

三丁目の家 

玄関の横に「多摩市関戸三丁目の家」と記されたこの長屋では、毎週金曜日になると多くの子どもたちが楽しく遊ぶ声が聞こえてくる。 今回は「三丁目の家」を運営する「くべーる会」代表の松尾 友起さんにお話しを伺った。
...read more

中央図書館× 丸善 開館記念スペシャル対談 

多摩市立中央図書館オープニング記念企画。多摩市立中央図書館の館長・横倉妙子さん、丸善 多摩センター店の店長・中西慶太さんと一緒に新しい中央図書館内を巡ります。
...read more

多摩ニュータウン育ちの一級建築士・小野澤裕子さん 

落合の団地で育った小野澤裕子さんは、多摩市を中心に多摩ニュータウンで活躍する一級建築士だ。 昨年、長年両親と住むご自宅をバリアフリーにリフォームしたことで、多摩ニュータウンの魅力を再確認したという。 今回は多摩ニュータウン育ちの一級建築士、小野澤裕子さんにお話しを伺った
...read more

多摩市在住のパラリンピアン・東京2020パラリンピック 5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表、黒田 智成選手 

東京2020パラリンピック競技大会が無事閉幕した。多摩市在住の黒田 智成選手が大会期間中3得点をあげ、日本の勝利に大いに貢献したことは記憶に新しい。今回は2002年からブラインドサッカー男子日本代表として活躍する黒田 智成選手にお話しを伺った。
...read more

生まれ変わったケトルドラム 

2020年11月に惜しまれつつ閉店した聖蹟桜ヶ丘の老舗コーヒーハウス「ケトルドラム」が、今年4月30日にリニューアルオープンした。今回は同店の新たな店主、棚沢正義さんと永子さん夫妻にお話しを伺った。
...read more

HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ) 

聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて約7分、多摩川の近くの路地を進むと一軒の古民家が見えてくる。ここは土日祝日限定で開いているドーナツ専門店「HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ)」だ。今回は店主のまつかわひろのりさんにお話しを伺った。
...read more

ZIKICO(ジキコ) 

味を変えないスプーンやフォークなどのカトラリーを作る会社が多摩市にあるのをご存知だろうか。「ジルコニア」という鉱物由来のセラミックに特化したプロダクト「ZIKICO」(ジキコ)を作る株式会社ZIKICOの代表取締役、山瀬光紀さんにお話しを伺った。
...read more

堀内文翔さんとリアルタイムクーポンアプリ 

多摩市には飲食店を支援しようと奮闘する中学生がいる。今回は鶴牧在住の中学生、堀内文翔(ほりうち あやと)さんにお話しを伺った。
...read more

東京都立多摩桜の丘学園とボッチャ 

多摩市聖ヶ丘にある東京都立多摩桜の丘学園では、来年に延期された東京2020パラリンピックの正式競技「ボッチャ」の魅力を発信し、地域の新たな取り組みとして注目されているのをご存知だろうか。今回は同学園の高等部主幹教諭、高橋幹基さんにお話しを聞いた。
...read more

リカーMORISAWA 

多摩市の東寺方に江戸時代末期から続く「森沢商店」その昔、「國見世」という屋号で様々な商品を販売し、戦時中は国からの配給所としての役割もあった同店は、現在「リカーMORISAWA」として、店舗での販売とともにインターネット上で世界中のワインを届ける店の草分け的な存在として、多くのワイン愛好家の支持を得ている。
...read more

ケトルドラム 

聖蹟桜ヶ丘の駅前の聖蹟Uロードから1本入った路地で37年続く喫茶店「ケトルドラム」の店主、祖母井春子さんとご主人の洋さんにお話しを伺った。
...read more

たまロケーションサービス 

多摩市のフィルムコミッション「たまロケーションサービス」代表の柴田 孝司さんと副代表の鳥居 俊平太さんにお話を伺った。
...read more

apricot(アプリコット) 

南野の恵泉女学院大学の正門前にある人気のコッペパン専門店「apricot(アプリコット)」さんにお話しを伺った。
...read more

Kitchen SUNNY HEART 

京王•小田急多摩センター駅から徒歩10分のところにあるkitchenSUNNYHEART
...read more

未知カフェ ~TAMA REVIVAL~ 

多摩市の若者世代による新たなまちづくりの拠点「未知カフェ ~TAMA REVIVAL~」が2月23日にオープンした。
...read more

多摩市発のユニークなオリジナル文房具&雑貨「geodesign(ジオデザイン)」 

ユニークなオリジナル文房具や雑貨を生み出している(株)ジオさんにお話をお伺いした。
...read more

コワーキングCoCoプレイス 

「子どものそばで仕事がしたい」そんな思いを実現できる場所が多摩市にある。
...read more

MUJI × UR団地リノベーションプロジェクト 

団地の新しい住み方「MUJI × UR 団地リノベーションプロジェクト」のご担当者にお話を聞きました。
...read more

ハロウィン in 多摩センター 

多摩センターの秋の風物詩「ハロウィン in 多摩センター2018」が今年も開催される。
...read more

永山フェスティバル 

21回目を迎える「永山フェスティバル」が2018年9月22日(土)と23日(日)の2日間で開催される。
...read more

恵泉女学園大学 

多摩センター駅前からスクールバスで約7分。そこには、自然と静かに対話できる空間が広がっている。
...read more

多摩市若者会議 

多摩市では「多摩市若者会議」を昨年度より開催している。
...read more

桜ヶ丘ゴルフ練習場 

桜ヶ丘カントリークラブの隣にゴルフ練習場があるのをご存知だろうか。
...read more

せいせき桜まつり 

37回目を数える聖蹟桜ヶ丘の春の風物詩「せいせき桜まつり」が去る4月8日に開催された。
...read more

杖道とアート 

400年以上前から続く、杖道(じょうどう)という武道があるのをご存知だろうか。
...read more

TAMA映画フォーラム実行委員会 

「映画祭 TAMA CINEMA FORUM」は今年で27年目を迎えた。
...read more

京王ほっとネットワーク移動販売 

多摩ニュータウンのエリアのお買い物をサポートする移動販売車をご存知だろうか?
...read more

J Smile多摩八角堂 

豊ヶ丘にある「J Smile多摩八角堂」が賑わいを見せている。
...read more

新倉農園 

美味しい苺やブルーベリーの味覚狩りと体験農園が楽しめる新倉農園
...read more

ウルトラランナー井上真悟さん 

多摩市には常に過去の自分を越えようとする世界的なランナーがいる。
...read more

moi bakery 

天然酵母のハード系パンが人気の豊ヶ丘「moi bakery」
...read more

京王多摩センター駅 武田阿沙美さん 

京王多摩センター駅は今年3月からサンリオとのコラボで駅全体が大きく様変わりした。
...read more

ル・ププラン 

「ル・ププラン」では、素材にこだわったフレッシュなケーキを提供している。
...read more

Pizzeria La.Pala 

「ラ・パーラ」では、地場野菜を使った本格的なナポリピッツァやパスタなどが頂ける。
...read more

諏訪2丁目住宅マンション建替事業(Brillia多摩ニュータウン) 

多摩市諏訪2丁目に、「Brillia多摩ニュータウン」は建っている。
...read more

RISTORANTE YAMA 

閑静な住宅街にある「RISTORANTEYAMA」は、特に宣伝もしないまま、人づてにその評判が広がっている。
...read more

日本アニメーション 

昭和50年(1975)に設営された日本アニメーションは、数々のアニメの名作を生み出してきた。
...read more

青木農園 

「採れたての旬の野菜の美味しさ」を味わえる「青木農園」は、多摩市内を流れる大栗川沿いのすぐ近くにある。
...read more

「Art×多摩ニュータウン」 開発さん&水野さん 

ふとしたきっかけから始まるアートと街のつながり
...read more

永どんサポーターズクラブ 加藤さん 

地元永山の魅力を伝えるサイトから登場した「永どん」の生みの親の加藤さんに、その思いをお聞きした。
...read more

ル・ジャルダンブルー 

見た目も美しく、美味しさにも定評のあるケーキを求めて、遥か遠方からお越しになるお客様も多い。
...read more

多摩市在住 萩原さん 

萩原さんは結婚後、多摩市を離れたものの「子育てに最適な街」と再認識をして家族と共に多摩市に戻ってきた。
...read more

AWkitchen 

見晴らしのいい丘にあるこちらのレストランでは契約農家から仕入れた野菜たっぷりの前菜とパスタが頂ける。
...read more

木のおもちゃ チッタ 

「おもちゃコンサルタント」の資格を有する店主が厳選したおもちゃを直接、手に取って遊べるのが嬉しい。
...read more