1. このページをSNSで投稿する:
  2. Twitter
  3. Facebook
vol.16

日本アニメーション

親も子も楽しめるような作品を手掛けていきたい

名作アニメを多摩の地から発信

 昭和50(1975)年に多摩市で創業した「日本アニメーション株式会社」は、今年で40周年を迎えた。多摩市和田にある本社スタジオでは「フランダースの犬」や「あらいぐまラスカル」などの「世界名作劇場」シリーズをはじめ、「未来少年コナン」や「ちびまる子ちゃん」など、日本を代表する数々の名作が制作され、日本のみならず世界に向けて発信されてきた。
 多くの人々を魅了する、夢と感動がいっぱいのアニメ作品を生み出す、日本を代表するアニメーターの佐藤さん、そしてイベントの企画などを担当するイラストレーターの永見さんのお二人にお話を伺った。

アニメーション制作の世界

 佐藤さんがアニメーションの世界に憧れるようになったのは、毎週末に母親と見ていた「アルプスの少女ハイジ」がきっかけで、番組が終わった後に、親子で感想を語り合うのが何よりも楽しみだったという。
 小さな頃から絵を描くのが得意だった佐藤さんは、雑誌の「アニメージュ」でアニメーション制作会社である「日本アニメーション」の存在を知り、会社の門戸を叩いた。すると当時「アニメーションの神様」と呼ばれていた森やすじさん自らが作った試験問題を手渡され、数日後に提出のため会社を再訪したところ、すぐにその場で採用が決まった。3か月間に及ぶ森さんの研修期間を経て配属されたのは、「世界名作劇場」の5作目「赤毛のアン」(昭和54年放送)の制作現場だった。
 配属先の「赤毛のアン」の制作現場には、人間味にあふれた素晴らしい先輩がたくさんいて、中でも当時、「日本アニメーション」に在籍していたアニメーターの大先輩、近藤喜文さんとの出会いは、佐藤さんがその後アニメーターとして活躍していく上で大きな礎となった。近藤さんからは「絵を描くだけでなく色々と世の中のことに興味を持って、分からないことがあったら答えが出るまで調べなさい」「絵を描くためにはマンガだけでなく、文字で書かれたものも読むようにしなさい」といったアニメーターとして大切なことを一から教わった。
 世界名作劇場シリーズの制作現場では多忙な日々が続き、休むことなく仕事に没頭する毎日だった。それだけに、初めて作品のエンドロールに自分の名前が出た時には、ようやく一人前のアニメーターになれたと実感したという。
 そしてベテランアニメーターになった佐藤さんだが、良い作品作りへの思い入れは現在でも人一倍強く、毎回、覚悟を決めて一つ一つの作品に取り組んでいる。「僕たちアニメーターは単に絵を描くだけでなく、納得が行くまで粘り続けます。格好良くいうと、そこに命を吹き込んでいます」と仕事への思い入れを語る。そんな佐藤さんが一番喜びを感じる瞬間は、完成した作品フィルムを皆で鑑賞しながら、「この仲間たちと一緒にやって来て良かったなあ」と実感する時だという。特に監督も含めて、制作に携わったメンバー全員が同じ方向を向いて仕事に取り組んだ時には、素晴らしい作品が出来上がるという。

親子で楽しめる作品を作り続けたい

 アニメの世界に入って30数年目を迎える佐藤さんの原点は、子どもの頃に親子で見ていた「アルプスの少女ハイジ」に代表される、日常的なドラマを描いたアニメ作品だという。佐藤さんは「親と子が一緒に楽しめて、感動してくれるような作品を作り続けたいと思っています」と語る。現在、来年1月公開予定の映画「シンドバッド 魔法のランプと動く島」ではキャラクターデザインと総作画監督として携わる佐藤さん、「もちろん、新作でもその点にはこだわっています」と大元の軸がぶれることはない。
 50の声を聞いてからは、これまでほとんど休むことなく走り続けてきた半生を振り返り、 「もう少し、楽をしよう」と考えて、自発的に週に一度の休みを取るなど、心と身体を休養させることを心掛けている。「アニメの世界の大先輩たちは本当に根を詰めてがんばってくれたので、それよりも若い自分はもう少し緩やかに、細く長くがんばって行こうと思っています」と語る佐藤さんは、「ここまでがんばって来られたのも、素晴らしい仲間との出会いがあったからです」と周りへの感謝も忘れない。

アニメ作品を通じて、地域との繋がりを作っていく

 「日本アニメーション」では、創業時から「世界中の子どもたちと家族に向けた、心を豊かに育むアニメーションづくり」を目指し続けている。そんな心温まる作品を通じて、地域との架け橋となるイベントやワークショップなどを企画しているのが、イラストレーターの永見さんである。実際に、永見さん自らイベントへも出向いて、地域との橋渡しに貢献している。今年の4月に「パルテノン多摩」で開催された「ポストカード作り」の親子向けワークショップでは、メインの「ポストカード作り」だけでなく、「小さなお子さんが退屈しないように」と、小麦粉風船「クワシー」を作って遊んでもらうなど、参加する人全員が楽しめるような工夫も忘れない。
 今年の9月には「日本アニメーション創業40周年」を記念して、聖蹟桜ヶ丘で「せいせき桜ヶ丘 ラスカル子ども映画祭」が初開催された。映画上映をはじめ企画展やアニメがどのようにできあがるかを体験できるワークショップなど、市内外を問わず多くの来場者でにぎわい、大盛況だった。このイベントにスタッフとして参加した永見さんは、予想以上の来場者数に加え、「自分の住む地域で、大好きなアニメ作品が制作されていたと知って驚いた」など、お客様からの生の声を直接、耳にできて感動した。「このようなイベントを開催することで地域に笑顔が増えて行くことは、多摩への恩返しにもなるのではないかと自負しています」と語る永見さんと、その永見さんに大きな信頼を寄せている佐藤さんは、席が隣同士というのもあって、日頃からよく会話を交わしているという。また社内の他のスタッフ同士も非常に仲がいいという。温かな交流のある「日本アニメーション」の現場からは、これからもたくさんの温かいアニメ作品が紡ぎ出されていくことだろう。

会社
日本アニメーション株式会社
住所
〒206-0001 多摩市和田21
連絡先
042-374-3311
佐藤 好春さん アニメーター

佐藤さんが過去に手掛けた「ロミオの青い空」(1995年)などのファンクラブは未だに継続しているという。

永見 夏子さん イラストレーター

永見さんは専門のイラスト以外の分野でも形にとらわれず様々な企画を考案している。


丘のまち物語/INTERVIEW ISSUE

多摩で暮らす人たちに軸を据えて、その暮らしぶりや思いなどを語ってもらいます。

三丁目の家 

玄関の横に「多摩市関戸三丁目の家」と記されたこの長屋では、毎週金曜日になると多くの子どもたちが楽しく遊ぶ声が聞こえてくる。 今回は「三丁目の家」を運営する「くべーる会」代表の松尾 友起さんにお話しを伺った。
...read more

中央図書館× 丸善 開館記念スペシャル対談 

多摩市立中央図書館オープニング記念企画。多摩市立中央図書館の館長・横倉妙子さん、丸善 多摩センター店の店長・中西慶太さんと一緒に新しい中央図書館内を巡ります。
...read more

多摩ニュータウン育ちの一級建築士・小野澤裕子さん 

落合の団地で育った小野澤裕子さんは、多摩市を中心に多摩ニュータウンで活躍する一級建築士だ。 昨年、長年両親と住むご自宅をバリアフリーにリフォームしたことで、多摩ニュータウンの魅力を再確認したという。 今回は多摩ニュータウン育ちの一級建築士、小野澤裕子さんにお話しを伺った
...read more

多摩市在住のパラリンピアン・東京2020パラリンピック 5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表、黒田 智成選手 

東京2020パラリンピック競技大会が無事閉幕した。多摩市在住の黒田 智成選手が大会期間中3得点をあげ、日本の勝利に大いに貢献したことは記憶に新しい。今回は2002年からブラインドサッカー男子日本代表として活躍する黒田 智成選手にお話しを伺った。
...read more

生まれ変わったケトルドラム 

2020年11月に惜しまれつつ閉店した聖蹟桜ヶ丘の老舗コーヒーハウス「ケトルドラム」が、今年4月30日にリニューアルオープンした。今回は同店の新たな店主、棚沢正義さんと永子さん夫妻にお話しを伺った。
...read more

HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ) 

聖蹟桜ヶ丘駅から歩いて約7分、多摩川の近くの路地を進むと一軒の古民家が見えてくる。ここは土日祝日限定で開いているドーナツ専門店「HUGSY DOUGHNUT(ハグジードーナツ)」だ。今回は店主のまつかわひろのりさんにお話しを伺った。
...read more

ZIKICO(ジキコ) 

味を変えないスプーンやフォークなどのカトラリーを作る会社が多摩市にあるのをご存知だろうか。「ジルコニア」という鉱物由来のセラミックに特化したプロダクト「ZIKICO」(ジキコ)を作る株式会社ZIKICOの代表取締役、山瀬光紀さんにお話しを伺った。
...read more

堀内文翔さんとリアルタイムクーポンアプリ 

多摩市には飲食店を支援しようと奮闘する中学生がいる。今回は鶴牧在住の中学生、堀内文翔(ほりうち あやと)さんにお話しを伺った。
...read more

東京都立多摩桜の丘学園とボッチャ 

多摩市聖ヶ丘にある東京都立多摩桜の丘学園では、来年に延期された東京2020パラリンピックの正式競技「ボッチャ」の魅力を発信し、地域の新たな取り組みとして注目されているのをご存知だろうか。今回は同学園の高等部主幹教諭、高橋幹基さんにお話しを聞いた。
...read more

リカーMORISAWA 

多摩市の東寺方に江戸時代末期から続く「森沢商店」その昔、「國見世」という屋号で様々な商品を販売し、戦時中は国からの配給所としての役割もあった同店は、現在「リカーMORISAWA」として、店舗での販売とともにインターネット上で世界中のワインを届ける店の草分け的な存在として、多くのワイン愛好家の支持を得ている。
...read more

メガネ食堂BAR(スタジオメガネ) 

多摩ニュータウンの落合団地商店街にある設計事務所の一部をつかった「メガネ食堂BAR」。今回は同店を手掛ける設計事務所「スタジオメガネ」代表の横溝惇さんにお話しを伺った。
...read more

ケトルドラム 

聖蹟桜ヶ丘の駅前の聖蹟Uロードから1本入った路地で37年続く喫茶店「ケトルドラム」の店主、祖母井春子さんとご主人の洋さんにお話しを伺った。
...read more

たまロケーションサービス 

多摩市のフィルムコミッション「たまロケーションサービス」代表の柴田 孝司さんと副代表の鳥居 俊平太さんにお話を伺った。
...read more

KAOFES 

今年で6回目となる「KAOFES(カオフェス)」の実行委員長を務める石山弘明さんにお話しを伺った。
...read more

apricot(アプリコット) 

南野の恵泉女学院大学の正門前にある人気のコッペパン専門店「apricot(アプリコット)」さんにお話しを伺った。
...read more

ベジフルキッチン トレーノ・ノッテ ※現在は閉店しています 

多摩センターにあるレストラン「べジフルキッチン トレーノ・ノッテ」を経営する㈱サニーワークスさんにお話しをお伺いした。
...read more

Kitchen SUNNY HEART 

京王•小田急多摩センター駅から徒歩10分のところにあるkitchenSUNNYHEART
...read more

未知カフェ ~TAMA REVIVAL~ 

多摩市の若者世代による新たなまちづくりの拠点「未知カフェ ~TAMA REVIVAL~」が2月23日にオープンした。
...read more

多摩市発のユニークなオリジナル文房具&雑貨「geodesign(ジオデザイン)」 

ユニークなオリジナル文房具や雑貨を生み出している(株)ジオさんにお話をお伺いした。
...read more

コワーキングCoCoプレイス 

「子どものそばで仕事がしたい」そんな思いを実現できる場所が多摩市にある。
...read more

サテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」※移転前の記事です 

「働き方改革」が叫ばれている昨今、京王プラザホテル多摩2階にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」がオープンした。
...read more

MUJI × UR団地リノベーションプロジェクト 

団地の新しい住み方「MUJI × UR 団地リノベーションプロジェクト」のご担当者にお話を聞きました。
...read more

ハロウィン in 多摩センター 

多摩センターの秋の風物詩「ハロウィン in 多摩センター2018」が今年も開催される。
...read more

Patisserie Boulangerie toi toi toi 

聖蹟桜ヶ丘駅を出て徒歩3分ほどの場所にあるPatisserie Boulangerie toi toi toi。
...read more

永山フェスティバル 

21回目を迎える「永山フェスティバル」が2018年9月22日(土)と23日(日)の2日間で開催される。
...read more

恵泉女学園大学 

多摩センター駅前からスクールバスで約7分。そこには、自然と静かに対話できる空間が広がっている。
...read more

多摩市若者会議 

多摩市では「多摩市若者会議」を昨年度より開催している。
...read more

桜ヶ丘ゴルフ練習場 

桜ヶ丘カントリークラブの隣にゴルフ練習場があるのをご存知だろうか。
...read more

せいせき桜まつり 

37回目を数える聖蹟桜ヶ丘の春の風物詩「せいせき桜まつり」が去る4月8日に開催された。
...read more

多摩市出身のJリーガー・東京ヴェルディ 田村直也選手 

多摩市をホームタウンとするサッカーJリーグクラブ「東京ヴェルディ」には多摩市出身の選手が活躍している。
...read more

杖道とアート 

400年以上前から続く、杖道(じょうどう)という武道があるのをご存知だろうか。
...read more

多摩センターイルミネーションのもみの木 

パルテノン大通りには高さ12mのクリスマスツリーが設置され、多くの人々を魅了している。
...read more

京王プラザホテル多摩 ※営業終了しています 

今年創業27年を迎えた多摩センター駅前の京王プラザホテル多摩には
...read more

聖蹟サンタマラソン 

「聖蹟サンタマラソン」が2017年12月17日(日)に聖蹟桜ヶ丘の一ノ宮公園で開催される。
...read more

せいせきみらいフェスティバル 

今年で3回目となる「せいせきみらいフェスティバル」が2017年9月17日(日)に開催される。
...read more

E’s CAFE 

日本初の障がい者就労で運営するスポーツバー「E's CAFE」がオープンした。
...read more

TAMA映画フォーラム実行委員会 

「映画祭 TAMA CINEMA FORUM」は今年で27年目を迎えた。
...read more

京王ほっとネットワーク移動販売 

多摩ニュータウンのエリアのお買い物をサポートする移動販売車をご存知だろうか?
...read more

J Smile多摩八角堂 

豊ヶ丘にある「J Smile多摩八角堂」が賑わいを見せている。
...read more

新倉農園 

美味しい苺やブルーベリーの味覚狩りと体験農園が楽しめる新倉農園
...read more

ネコサポ 

「ネコサポ」というお買い物や家事の代行サービスをご存知だろうか?
...read more

ウルトラランナー井上真悟さん 

多摩市には常に過去の自分を越えようとする世界的なランナーがいる。
...read more

moi bakery 

天然酵母のハード系パンが人気の豊ヶ丘「moi bakery」
...read more

コンティ多摩センター ※営業終了しました 

コンティ多摩センターはこれまでの公民館や生涯学習センターとは一線を画した会員制の複合施設だ。
...read more

京王多摩センター駅 武田阿沙美さん 

京王多摩センター駅は今年3月からサンリオとのコラボで駅全体が大きく様変わりした。
...read more

ル・ププラン 

「ル・ププラン」では、素材にこだわったフレッシュなケーキを提供している。
...read more

Pizzeria La.Pala 

「ラ・パーラ」では、地場野菜を使った本格的なナポリピッツァやパスタなどが頂ける。
...read more

諏訪2丁目住宅マンション建替事業(Brillia多摩ニュータウン) 

多摩市諏訪2丁目に、「Brillia多摩ニュータウン」は建っている。
...read more

RISTORANTE YAMA 

閑静な住宅街にある「RISTORANTEYAMA」は、特に宣伝もしないまま、人づてにその評判が広がっている。
...read more

日本アニメーション 

昭和50年(1975)に設営された日本アニメーションは、数々のアニメの名作を生み出してきた。
...read more