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“街なか探究 期末テスト”(多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校 探究学習発表@多摩センター)に参加してきました

まち歩きレポート, 未分類 No Comments

北風が冷たい12月8日金曜日の午後、多摩センターはパルテノン大通りで行われた 多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校  (以下多摩大聖)の”街なか期末テスト”に参加してきました。多摩大聖の高校1年生が1〜2学期を通して取り組んできた「探究授業」の成果を街なかでプレゼンし、それを聞いた市民が採点(投票式に評価)するというイベントで、新しい教育の可能性を見せていただいた気がします。

 

 

 

「探究授業」の基本となる考えは、正しい答えを用意された課題をただ解くという一方通行の授業ではなく、生徒自らが主体となり課題・問題を見つけ、多角的探究を通して、自分なりの答え(結論・解決策)を導き出していくというものです。2022年に文部科学省が新しい教育カリキュラムとしてその方針を打ち出し、多摩大聖では「探究授業」をいち早く取り入れてきたそうです。高校1年生になると、1学期に「探究」の基本となる考え方を座学で学び、「これが正しい唯一の正解である」という日本社会・教育の中で私たちの多くが埋め込まれてしまっている“思い込み”を外していくそうです。2学期にはその思い込みを外した柔軟な考え方や発想を身につけた状態で、実際に教室を出て、社会の中で具体的に、実践的に”探究”(フィールドワーク)がどういうことかを学んでいく。今回の公開期末テストはその授業の集大成であり、教員も生徒たちも緊張と自信・達成感が入り混じった複雑な面持ちでこの日を迎えているという印象を受けました。

 

 

 

 

1グループ6~7人の生徒を無作為に班分けし、1~22班それぞれが、自分たちのテーマ(多摩市における課題)を探究し、それを8枚のスライドにまとめてプレゼンテーションする。その過程全てが成績として評価されます。成績の8割は、校内での授業や探究の過程・生徒の様子を教員がすでに評価済みとのこと、この公開プレゼンの投票結果が残り2割として加算されるそうです。

受付でもらった投票用紙。22班のプレゼンを聞いて自分が良いと思った上位3班までを記入し投票箱に入れます。

各班のプレゼンを聞いて回ります。「理想の公園を作るには?」「多摩センターを魅力的な街にするには?」「多摩市を子育て世代が住みやすい街にするには?」等、それぞれの班が選んだテーマについて5〜10分ほどのプレゼン。テーマ選びの時点で他の班と被っていないテーマを選ぶという、鋭い着眼点を持つ班、プレゼン資料に工夫のある班、プレゼン能力が高い班、参加者と積極的に対話しようとするコミュニケーション能力が高い班、それぞれの班に良さがあり、採点に悩みます。

 

マインドマップを使ったスライドが目を引きました。既成のフォーマットにとらわれないアイディアのまとめ方に自由さを感じます。

 

 

 

 

しかし、最終的には、私たち人間という生き物は、内容・情報の量や質という見える結果だけでなく、その人となり全体を見て評価していると実感するのです。伝えたい思いがあるか、それを伝えようとする熱意があるか・・・やはり私たちはロボットやAIではなく生物であり、表情や身振り・発する言葉の選択・その発し方などはもちろん、それがなくとも一生懸命さ・直向きさがあるか? そういったものを多角的多層的に察知・判断しながら生きているのではないでしょうか? 「探究授業」は、人間がこの社会をどう探究し、どう表現するか、そしてどう生きていくか、その本質的学びになりうる可能性を感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校 入試広報部 探究基幹教員 出岡 由宇(いずおか ゆう)先生 にお話を伺いました。

「数年前にこの探究授業を始めるにあたって、一番の課題は生徒たちにあるのではなく、私たち教員、大人の方にあると気づきました。私たち大人が持ち続けてきた”思い込み”を捨てるために、多摩大聖では教員が自分たちの趣味を真面目に講義するという取り組みから始めました。真面目にふざける、ふざけながらも必死に生きる、それを私たち教員自らがやらねばと思ったんです。それを見ている生徒たちも”思い込み”を外し、自分の好きや閃きを探究できるようになるんじゃないかと思っています。生きていく中での”正解”は教えてあげられないけど、正しく失敗できる道筋を作ってあげる、間違えた時にまた自ら起き上がることができるサポートをする、それが私たち教育者の務めなんじゃないかと」

「僕は学生の頃、学校は好きだったけど、教員は嫌いだったんです。勉強もあまり好きじゃない不真面目な生徒でした。教員になったのはその学校に対する価値尺度の乖離を埋めたかったんです。」自らが、好きになれる教員であろうと模索し続けるその姿こそ探究のお手本であり、このような先生の元で学べる子どもたちを羨ましく思いました。こういう教育の場を、私学だけでなく、あるいは学校という場にとどまらず、社会全体で育み、子どもたちが持つ可能性を無限に伸ばしていければと思いました。

若者のエネルギーとそれを支える先生方の熱意に日本教育の未来を感じながら、冷えた手と熱いハートを擦り合わせながら会場を後にしました。

 

多摩モノまつりin立川での出会い 〜 FARM BAKERY(ファームベーカリー)〜

まち歩きレポート No Comments

 

 

先日、多摩センター駅からモノレールに乗って、立川市で開催の「多摩モノまつり」に行ってきました。今回はそこでの素敵な出会いをご紹介したいと思います。

窓から見える景色に子どもは釘付け。多摩モノレールは走行路(軌道けた)が高架になっており、目線が高く、街中をふわふわ飛んでいるような感覚になります。

多摩都市モノレール線は、立川市にある多摩都市モノレール株式会社が運営する路線であり、東京都東大和市の上北台駅から多摩市の多摩センター駅間を走っています。

多摩都市モノレール本社がある立川市、高松駅に到着しました。

 

 

普段見られないような運転台や、モノレール車庫入れの様子など、子どもたちは大喜び。

 

 

 

フードエリアの一角では後援自治体(八王子市、立川市、日野市、東大和市、多摩市) のテントが並んでおり、我らが多摩市のブースを発見。

 

多摩市がホストタウンを務めるアイスランドをフィーチャーしたブースになっていました。

 

 

アイスランドに馴染みの深い焼き菓子が並んでいます。

 

その他、美味しそうなパンもずらり。あんぱん、メロンパン、ハムチーズパン、ウィンナーパン、カレーパン・・・迷いに迷って、メロンパンとポテトフォカッチャを購入。

焼き菓子やパンはすべて、多摩市内で活動する「Farm Bakery(ファームベーカリー)」作。以前取材したシェアキッチン (カドキッチン)を月に2〜3回利用して活動しているパン屋さんです。

私たちが到着したお昼過ぎには、すでに完売している商品もある人気ぶり。出足が遅かったようです。

 

『Farm Bakery』として活動する 田代 京子(たしろ きょうこ)さんと畔上 夏海(あぜがみなつみ)さんお二人にお話を伺いました。

写真:田代 京子さん(左)、畔上 夏海さん(右)

田代さんにパン屋を始めたきっかけを伺うと、「50歳過ぎて、30年以上勤めた仕事場を離れたんです。体調を崩して精神的にも参っていました。退職後第二の人生を模索し、兼ねてから興味があった食、特にパン作りに焦点が合い、思い切って社会人向けの専門学校(リライブフードアカデミー)に1年間通うことに。最初の半年は初心者向けの製パン技術習得コースを、後半の半年でもっと専門的なプロ向けのコースを受講しました。週1回朝から夜までパン作りに没頭し、パンを捏ねていると無心になれることに気づいて、それまでクヨクヨ悩んでいたことが晴れていくようでした」同時期に同じコースを受講していた仲間の1人が畔上さんだったとのこと。

「母がお菓子作りが好きで、私は食べる専門でした」と畔上さん。「小さい頃にパン屋さんに行った温かくて幸せな記憶も残っていて、その記憶に引かれるようにベーカリーカフェでアルバイト。製パンも勉強したいと思うようになり学校へ通い始めました。同じコースで学ぶ中、田代さんは自分のやりたいことを実際に行動に起こして前に進んでいく姿がとても眩しかったです。そんな田代さんと、自分も何か一緒にやりたいと思ったのは必然の流れでした」

学校のコースが半年終わった頃、田代さんは食品衛生責任者の資格をとり、シェアキッチンを利用してパンの受注販売を始めます。クラスメイトとして共に学び、偶然家も近かった畔上さんもその活動に加わり『Farm Bakery』を結成。「田代の田、畔上の畔、どちらもFarm=農に関係することから、『Farm Bakery』という名前にしました」田代さんは笑う。


「前職のつながりで、知り合いにこんなことやりたいと話して回ったら、みんな面白がってくれて、パンの注文が少しづつ増えていきました。今では二人で朝7時から15時の間に分担して11種類のパン約250個ほどを焼き上げ、それを車で配達して回るというスタイルでやらせてもらっています」と田代さん。「パンを受け取ってくださる方々の笑顔が何よりの喜びです」と笑う畔上さん。

(写真:本人提供)

Farm  Bakeryの今後について伺うと、「実は『Farm Bakery』は年内で解消し、来年からはそれぞれの道に進むことが決まっているんです」と田代さん。田代さんも畔上さんもそれぞれ開業を目指して準備を進めているとのこと。
「長年福祉の仕事をしてきたこともあり、地域の皆さん、特に子育て世代が、安心して集える場所を作りたいんです。パンはあくまでツールの一つであり、カフェとして開放したり、味噌仕込みや梅ジュース作りなど、四季折々の手仕事や知恵を次世代に伝える場であれたらと思っています。ここだと思えるいい物件も見つかり、今は新しいお店作りのことで期待に胸が膨らんでいます」と目を輝かせる田代さん。

畔上さんも「田代さんの勇気に引っ張られるように一緒に活動させてもらっていましたが、今はその勇気に背中を押され、私も自分でお店を持つという夢にチャレンジしてみようと思うようになりました。まだ少し先になりますが自分のペースで進んでいければと思っています」

お二人によるとパンは非常に繊細な生き物で、外的要因(室温や湿度など)によって左右され、適切に加水したり、パンの様子に常に気を配る必要があるんだとか。それ以外にも、作り手の気持ちも出来上がりにしっかり反映されるそう。「とあるパン屋に1人の子どもがパンを買いにきました。その子は店の常連で、店主が並べたパンをいつものように眺めると『おじさん今日のパンは笑ってないね』と一言。」

「この話は私たちがパン作りを学んだ学校の先生から、作り手としての心構えやお客様に対する心遣いを教えてもらう中で聞いたエピソードのひとつです。その先生との出会いも含めて、私たちはいろんなものや人との繋がり、全てがあってこその存在であり、そこに感謝できているか、ちゃんと心が通っているかどうか、パンを捏ねる時の”思い”は発酵具合や焼き上がりにそのまま影響します。見た時、触れた時、食べた時、それは確実に相手に伝わるんです。だからこそ、自分たちが元気に楽しく笑顔で精一杯生きること、それができることに日々感謝すること、それが何よりも大切なんですよね」と田代さん。

今後のそれぞれの活躍を期待すると共に、私たちもお二人が作る”ニコニコ笑顔の幸せパン”にいつかどこかで出会い、その有り難みに気づけるだけの心を持ち合わせていますようにーー。

Farm Bakery (ファームベーカリー)

※ 2023年12月21日で2人の活動は終了し、2024年2月より田代さんひとりでのカドキッチン多摩で販売。詳細はインスタでお知らせしています。

 

カドキッチン多摩

◆ Instagram:https://www.instagram.com/kado.kitchen

◆ 公式HP: https://www.kadokitchen.com/

【住所】東京都多摩市百草1146−1稲荷塚コーポラス 106号室

【アクセス】京王バス(聖蹟桜ヶ丘駅9番から乗車)落川バス停下車徒歩5分 (多摩センター駅5番から乗車)愛宕東バス停下車徒歩6分

   ※ 駐車場2台分あります

多摩ランタンフェスティバル2023に行ってきました

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多摩豊ヶ丘・貝取エリアで開催された多摩ランタンフェスティバル2023へ行ってきました。

フェスティバル(お祭り)の醍醐味は、私たちが当たり前に暮らしている日常空間で非日常を演出すること。日々暮らす場所を華やかに装い、住まう人々の心を高揚させ、特別な時間や空間・次元を演出し、そこに集う皆でその時間と空気を満喫する。「綺麗」「楽しい」「すごい」そんな気持ちが「この場所に繋がれてよかった」と、目の前の景色や人、そして日々を大切に感じ、退屈し焦燥していた心に灯りが灯る。ランタンフェスは、それを目にみえる実際の”灯り”を用いて試みています。

 

イベントの開催は10月2日(月)から10月8日(日)まで。会期中、メイン会場となるJ Smile 多摩八角堂と豊ヶ丘商店街〜貝取商店街の遊歩道を色とりどりの”灯り”で繋ぎます。最終の2日間10月7日(土)・8日(日)は、15時からフードトラック、ライブパフォーマンスステージ、ワークショップブース等が立ち並び、賑わいは最高潮に。5回目の開催となる今年は「ニュータウンの夜長」をテーマに、ランタンが映える時間を長く楽しめるようイベントの終了時間は昨年の18時から20時に延長されたとのこと。

 

今回は最終日の10/8(日)に、子ども2人を連れて行ってきました。色とりどりのベトナムランタンが八角堂を彩っています。その数なんと200個。

 

 

ガチャガチャの空カプセルを利用した「たまのニューランタン」も美しく並び、風に揺らいでいます。

ニューランタンには短冊がついており、参加者皆の「プチハッピー」が書かれているんだとか。一つ一つ読んで歩くと幸せな気持ちになります。

一旦八角堂を離れて、豊ヶ丘商店街の方へ遊歩道を歩きます。車もなく、子どもを連れて歩くには安心な環境です。慣れた道ということもあり、普段のお散歩感覚で子どもたちはずんずん先に進んでいきます。途中「不思議な”部屋”を発見した!」とその歩みが止まり、ようやく追いつきました。白い暖簾で藤棚を覆い、ライトで演出。外から見るとちょっとしたディスコのような空間です。

中にはいるとライトとオーナメントがきらめいています。

プラネタリウムのような雰囲気もあり、光の煌めきをしばし堪能。子どもたちは光や色の変化を興味深そうに観察しています。

豊ヶ丘商店街エリアに到着。フードや雑貨、ゲーム、様々なブースが並びます。テントの下で座って飲食も楽しめるエリアです。

お腹が空いて食事タイム。

 

稲城市の古民家カフェ『いな暮らし』さんの手作り無添加お弁当 。低農薬・無農薬の野菜のおかずや車麩カツなど、優しい味にほっとします。

その他サポートれんげさんのいなり寿司に、たま整骨院さんの焼きとうもろこし。

「今日はお天気悪くて全然売れないんです!」「仕入れすぎちゃって…まだこんなにあるんです」と大量のとうもろこしを見せてくれ、「買ってくださーい!」「お願いしまーす!」と元気に道ゆく人に声をかけ、その姿にたくさんの方が足をとめ、温かな笑顔と眼差し、そして小銭を出して彼女たちに渡します。

甘くて香ばしい焼きとうもろこしを頬張った後は、気ままに歩いて回ります。

割れた陶器やシーグラスをセンスよく繋いだ「金継ぎアクセサリー」のお店で足が止まります。「多摩市内で蔓や麻ひも使った作品作りや金継ぎワークショップを開催している作家さんのブースでした(次回の金継ぎWSは12月9日14時〜場所は落合商店街のスタジオメガネにて)。今回は作家仲間3人での出店とのこと。

(左から) 灯香キャンドルさん、テノマノさん、haretona さん。

楽しい軽快な音楽が聞こえてきました。

 

観る方も、演る方も、それぞれ好きなおやつやビールを片手に集っています。観客席で観ていた女の子からもらったグミを頬張りながら演奏するパフォーマー。ゆるゆると楽しむ雰囲気が心地よい。しばし音楽に酔いしれた後は、さらに歩いてイベント会場の端、貝取商店街まで。

この日は時々雨もぱらつき、傘をさしたりひさしの下で休んだり、雨を凌ぎながらのお祭り。「雨だから帰ろう」とならない、むしろ雨だけど楽しい、これもお祭りならではの高揚感だと思います。

 

 

お腹もいっぱい、歩きくたびれヘトヘト、いよいよ陽もくれてきたので元来た道を引き返します。行きとは違う、灯りの灯った、多摩の風景に、人の表情の変化に触れた時と同じような、ときめきと温もり、そして親密さを感じます。

 

 

 

 

 

 

非日常の高揚感を携え、また日常へと帰ります。

帰りの車でトゥクトゥクとすれ違い、ここが多摩なのか遠い異国なのか、いよいよ曖昧に…