少人数制会員シェアキッチン 『カドキッチン多摩』 に行ってきました
車通りの多い道から外れた住宅街にある小さな曲がり角、ひっそり佇むどこか懐かしい、小さなアパートの角。
今回は、多摩市百草にある会員制のシェアキッチン 『カドキッチン多摩』さん に伺いました。
元々6畳間だったアパートの一室を改装し、キッチンスペースとカフェ・販売スペースに仕切ってそれぞれレンタルされています。
3畳スペースのキッチンには業務用ガスオーブンや、電子オーブンレンジをはじめ、冷蔵庫、パワーブレンダーやミキサー、スケールやふるい、包丁、泡立て器、軽量カップ、キッチンタイマー等、初心者もプロも満足できるキッチン用具があれこれ。
お菓子の試作品作り、イベントやネットショップ販売のための仕込み、隣接のカフェスペースを利用した1dayカフェ・・・可能性は無限に広がります。利用者はプロの料理講師、飲食店開業を考えているスタートアップの方、主婦、学生等、幅広い。菓子製造許可及び、軽飲食店営業許可を取得しており、爽やかなターコイズブルーの扉を隔てて、カフェスペースがあります。
所々にあしらわれた猫モチーフや差し色の青に癒される、隠れ家のような落ち着く空間です。
ここの何よりの魅力は、日によって、利用される方によって変わる、スペース内の空気感。
この日のキッチンからは焼き菓子の甘い、いい香り。
看板には『こころとからだがよろこぶ 米粉のおやつ 空羽(くう)』の文字。
グルテンフリー、アルミフリー、白砂糖フリー、素材に拘った優しい甘さの手作りおやつ屋さんの出店日でした。米粉で作ったシフォンケーキやパウンドケーキ、台湾カステラなどが人気とのこと。
店主は、月1〜2回のペースでキッチンを利用しているという、市内在住の辻原 久美子さん。
辻原さんは2児のお母さんでもあり、一時期 産後うつ、育児ノイローゼ、摂食障害等に苦しんだこともあるとか・・・
たくさんの学びや出会いを通してようやく暗いトンネルを抜け、長年育んだ ”夢” の実現に向けて一歩を踏み出したそうです。
「慌ただしい日常の中で、ほっとくつろぐ時間のお供になるおやつをお届けできたら」と話す辻原さん。
庭先から靴を脱いで店内に入るスタイルは、
他所のお宅に縁側からお邪魔するようで、懐かしい気持ちになります。
辻原さんを頼りに市内外から初めてここを訪れるお子さん連れの他、ご近所に住む『カドキッチン』の常連さん、オープンに合わせてお客さんがやってきました。
「赤ちゃんが生まれる前に買いにきました。」
嬉しそうに笑うお母さん。
「とっても美味しい!」
焼きたてを試食して飛び跳ねる小さな兄弟。
「お団子屋さん、パン屋さん、お菓子屋さん、ここでいろんなお店が開くたびに買いに来てます。今日もカドキッチンさんのInstagramを見て来ました!」
みんな幸せをたずさえ帰ってゆきます。
「この場所は、コロナ禍で社会が経済的にも、人同士の繋がりとしても、閉鎖し困窮していたことから始めたんです。」
『カドキッチン多摩』のオーナー 大友 聡さんにお話を伺いました。
コロナ禍のような人の流れも経済も止まってしまう大変な時であっても、地消地産の小さい経済を生み出すことで、”夢”を持てる社会にしたかったと言います。
「夢がある人を応援すると同時に、限られた条件であっても、人と人とがコミュニケーションでき、交流できる場というのを作りたかったんです。」
本業の翻訳家をする傍ら、ゲストハウスの運営やシェアキッチンの運営を始めたのが2年前。
『カドキッチン多摩』から始めて、着実にファンと自信、実力をつけ、卒業していった元利用者さんたちのその後を誇らしげに語ってくれた大友さん。
「この場所の卒業生が何よりの自慢なんです。」
最後に、大友さんの “夢”を尋ねると、
「この場所をもう少しお店っぽくできたらいいですね、軒先にストライプのオーニングを張ったり、あとは電気工事とか 笑」
そんな堅実な計画に加えて、壮大な “夢” もこっそり教えてくれました。
「次は、夢がある学校をつくりたいなあ。」
<カドキッチン多摩のオーナー (左から)大友ひとみさん、大友 聡さん>
カドキッチン多摩
【住所】東京都多摩市百草1146−1稲荷塚コーポラス 106号室
【アクセス】京王バス(聖蹟桜ヶ丘駅9番から乗車)落川バス停下車徒歩5分 (多摩センター駅5番から乗車)愛宕東バス停下車徒歩6分
※ 駐車場2台分あります
◆ Instagram:https://www.instagram.com/kado.kitchen
◆ 公式HP: https://www.kadokitchen.com/
*キッチン設備・内部の様子 写真提供:カドキッチン多摩