学生がまちづくりに関する様々なアイデアを発表する、「第2回多摩エリアのまちづくりに関するアイデアピッチ」に行ってきました。
このイベントは、まちの活性化と地域への愛着を深めることを目的に開催されているそう。
初めに、第1回で発表されたアイデアのうち、実際に地域で実施された事例の紹介がありました。
- 気軽に政治や選挙について語り合える場(選挙小屋)
- 多摩市で開催された多摩センターこどもまつりで「まちづくりハウス」として実施され、50人以上がアンケートに回答。
- 子どものためのサードプレイスの設置
- 稲城市の団地内で、チルできる場所を提供し、延べ100人が参加。
- 物々交換で文通し、人との関わりを増やす
- 多摩市の永山団地の秋祭りで実施。
第1回に参加した学生からは、「学生のうちに街づくりの提案から社会実装までができる貴重な機会を得ることができてよかった」との声もあるこのコンテスト。
第2回は2023年11月18日に開催され、予選を勝ち抜いた10団体が京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターでプレゼンテーションを行いました。
1.大妻女子大学 – Symbiosis 「リスクヘッジマップ」
危険な場所に加え、安全な場所も調査し、大学生がマップを作成。地域調査とリスクヘッジマップの作成を通じて、安心安全な子育てができる街づくりを提案。子ども用と大人用を作成し、いずれは障がい者向けのマップも展開したいと話していました。
2.東京工科大学 – たまくえすちょん 「たまくえすちょん」
地域の魅力を高めるためには、魅力を知っている人を増やすことが重要と考え、地域ゆかりのドラマや映画などに関するクイズを地図に落として、ゲーム感覚で魅力を知ってもらうアプリを提案。課題は、アクティブユーザーの確保と、ドラマや映画の画像を使用するための利権関係の調整と、分析もしっかりとしていました。
3.東京都立国際高等学校・佼成学園女子高等学校 – はなかのこ 「Re-Cycling Generation」
運動不足と環境問題を一度に解決できるアイデアとして、放置自転車を発電装置に活用し、観客が発電して映画上映を楽しんだり、発電量によって電車の運賃を変動させる大胆なアイデアを提案。一過性にならないように、習慣化できるような仕組みをうまくアイデアに落とし込んでいました。
4.明治大学 エムスリー 「交通安全のトリックアートを作ろう」
他人におすすめしたくなる魅力的なまちとはどんなまちか、というところから「日常生活を安全に送れる」ことが魅力の一つと気づいたメンバー。子どもや保護者の視点を取り入れ、交通安全教室の一環としてトリックアートを自分たちでペイントするアイデアが提案されました。子どもたち自身が作成することで、危険な場所を認識できる点が魅力的でした。
5.大妻女子大学 – Enjoy!リコジャム 「緑豊かなオープンカフェ」
「子育て世代の母親に憩いの場を提供したい」、という思いから生まれたこのアイデア。多摩センターに多くの学生が立ち寄る特性を活かして、学生などが運営するリラックスした雰囲気のオープンカフェで、母親がカウンセラーなどの専門職の相談を受けられるような場が提案されました。新規住民の獲得やコミュニティ駅前活性化にも広げていきたい、と話していました。
6.東京都立大学大学院 – ballast design 「ミライノクラシを用いたワークショップ」
住民が自分のまちのミッションをクリアしながら自分と社会全体の幸福を追求し、まちに愛着と誇りを持てるまちを目指していくボードゲーム型のワークショップ。特徴は住民になりきってプレイできること。地域毎にカスタマイズもできるそう。自治会の方に参加してもらい、テストプレイを重ねて、どの世代の方も楽しめるように工夫した、というお話が印象的でした。
7.大妻女子大学 – 多摩市近郊+1 「日本一の地域共生社会を目指して」
Dカフェ(認知症カフェ)を地域の居場所にするための取り組みが提案されました。コースターを媒体にするアイデアが斬新。コースターには、子どもが書いたイラストや脳トレ(クロスワードパズルなど)を書き、間接的ではありますが、世代間交流を目指していくものでした。「女子大学生の強みはリーダーシップ」という言葉から始まったプレゼンはとても力強かったです。
8.東京工科大学 – パンくずリスター 「人と店と街とを繋ぐ、あなただけのパンくずリスト」
出発地点と目的地を入力すると、その道中にある個人店を紹介してくれるアプリのアイデア。地元の個人店の良さを多くの方に知ってもらいたい、という熱い思いに、審査委員からは、まちの回遊性を高めるもので、実際にこういうアプリが欲しいと思っていました、というコメントもありました。
9.大妻女子大学 – Nexus 「多摩市共生社会」
市内の空き家を活用して、高齢者サロンと放課後学童クラブを同じ場所で運営する、というこのアイデア。高齢化や学童希望者の増加、空き家の問題に対処するためにどうしたらよいか、と考えたそう。複数の社会問題を解決できる素晴らしいアイデアでした。審査委員からは、永山団地名店街にある「福祉亭」の事例紹介もありました。
10.東京都市大学 – 個人参加 「住む人たちで作る街」
永山北公園とベルブ永山を対象に、地域の運営に、自治会だけではなく、企業や行政、大学などが関わることで、自分たちで地域の価値を生み出していこうというアイデア。特定の人が頑張るのではなく、多くの人がふらりと立ち寄り、協力できるような地域を作るために何をすればよいかを、時系列で分かりやすく説明していました。
それぞれの説明が終わると、審査のため休憩時間。
でも、学生たちは、刺激を受けた団体と話したり、発表の感想を言い合ったりと活発に交流していました。
そしていよいよ結果発表の時間に……。
優秀賞は、都立国際高校・佼成学園女子高校 – はなかのこ の「Re-Cycling Generation」と、明治大学 エムスリー の「交通安全のトリックアートを作ろう」の2件、
栄えある最優秀賞は、東京工科大学 – パンくずリスター の「人と店と街とを繋ぐ、あなただけのパンくずリスト」が受賞。
個性豊かなアイデアの数々に、多くの刺激を受けた一日となりました。
アイデアピッチコンテストで発表した団体が説明会で使用した資料が、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターAB館7階の連絡ブリッジで展示されます。
学生たちのまちづくりへの熱量をぜひ感じてみてください。
日時:2024年1月16日(火曜)~24日(水曜)の10:00~20:00
場所:京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターAB館7階の連絡ブリッジ