今回は今年2023年8月にオープンした「金山(きんやま)定食屋」さんに行ってきました。
場所は多摩市馬引沢2丁目、コンビニ、寿司屋、パン屋と並ぶ通りに位置しています。
この日伺ったのは遅めのお昼14:00。営業時間は年中無休、午前10:00~午後8:30まで、お昼休みなくお店を開けているとのこと(火曜日のみ午前10:30~午後3:00まで)。
店内を覗くと学生らしき若い男性が1人で座っていました。1人で気軽に入りやすい雰囲気にほっとして、アクリルの引き戸を開けて店内へ。
店内は白く明るく、こざっぱりしています。どこか懐かしい定食屋の雰囲気ですが、古臭さはなく、どことなく異国の雰囲気を持ち合わせた不思議な空気感。
テーブル席はなくカウンター席が15席、まさに定食屋スタイル。
壁のあちこちにメニュー写真が貼ってあります。
この店を切り盛りしているのは、ミャンマー人の店主 フューピァトィンさんと その従姉妹のモーモーミンさんのお2人。
先客の男性が食べていたのは「からあげライス」。ご飯の上に大きな唐揚げ4個と付け合わせのサラダ。コンソメスープがついて750円です。
メニューの価格を見て、そのリーズナブルさに驚きました。
あんかけラーメン500円、焼きそば、カレーライス各600円、ガパオライス 750円……。コーヒーやジュースなどのソフトドリンクは50円〜100円で提供しています。
「大繁盛したいとは思っていない。自分だけ、このお店だけでなく、このお店に来る人、お店の周りの人みんなに幸せが巡るようにと思っています。でも、最近は物価が高くて、来年からはもう少し値上げになると思います。大学生にはお腹いっぱいになってほしいから、ご飯大盛りを無料でサービスしてます」と店主のフューさん。
その謙虚さにファンがつくのか、初めて来た学生が、次来るときは友達を連れて来てくれたり、近所のおじさんが口コミで周囲の方に紹介してくれたり。人伝に少しづつ着実にお客さんを増やしているようでした。
「ミャンマーの、バチカンとマンデリンの間にある街に生まれました。小さい頃、祖父母が飲食店を営んでいて、放課後や長期休暇の際に私もよく手伝っていました。その頃から料理が好きで、ずっと自分のお店を持つのが夢でした。2014年に仕事の都合で日本に来ましたが、色々あって飲食店で働くように。様々なジャンルのお店で、キッチン、ホール、賄い担当などを経験しながら、日本人の口に合う料理を研究してきました」
この店では牛肉や豚肉料理は扱っておらず、鶏肉を使った料理のみ。味付けは鶏ガラと大豆ソースがメイン。自国ミャンマーの調味料は日本では入手が難しく、タイ製の調味料で代用しているとのこと。日本の醤油や味噌より甘めなのが特徴なのだそう。人気メニューはチキン玉ねぎ炒めライスとガパーオライス。
「今後、鶏の串焼きや、魚や海老を使った定食メニュー、ビールなども追加しようと考えています。ミャンマーの辛い料理も土日限定でお客さんの反応を見ながら少しづつ出していきたいです」
今回いただいたのは、チーズロールチキンコロッケとカレーライス。「コロッケは中にチーズが入っていて、チーズの量が多すぎると破裂してしまうので、破裂しないよう量を調整しています」
カレーライスは奇をてらわない、家庭的で優しい味わいのカレー。その素朴な味に、お店の佇まい同様、どこか懐かしさを感じつつも、異国の風味があり不思議な気持ちになりました。
コロナのことや自国ミャンマーでのクーデーターがあったりと、2020年から一度も帰国できていないというフューさん。「ミャンマーに帰れず寂しいけど、多摩市の皆さんはとても優しいし温かい。空気もいいし、緑も多いし、のんびりした環境。ここでお店を持てて本当に良かったと思っています」
言葉の壁や生活習慣の違いなど、ハードルも多そうでしたが、朗らかに笑顔でお店を切り盛りしている姿がとても印象的でした。
「お店をやっていくのに大変なこともたくさん。でも、大変なのは私だけじゃない。日本人じゃないから大変ってことでもない。お店をやるなら日本人でも誰でも通らなければならない道だし、人生ってのは、いつでもどこにいても大変なことはあるし、悩むことも多い。だから、ここから逃げずに頑張ろうって思います」
最後に写真撮らせてくださいとお願いすると、「写真は恥ずかしい」とはにかむ店主のフューさん。
「ありがとうございました。また来てね」と優しい声で見送っていただきました。
ごちそうさまでした。
金山定食屋 (きんやまていしょくや)
住所:東京都多摩市馬引沢2丁目12−3
営業時間:10:30〜20:30 (火曜日のみ10:30〜15:00)
定休日:なし
アクセス:小田急/京王永山駅 徒歩10分
諏訪1丁目、馬引沢2丁目バス停 徒歩2~3分
※支払いは現金のみ