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「知って・愛して・多摩市」Vol.9 多摩市のものづくり企業JUKI

 一口には語れない多摩市の魅力を、それぞれの専門分野でご活躍の皆さんから、語っていただく「知って・愛して・多摩市」を始めました。

 9回目の今回は、ミシンや産業用ロボットを製造するグローバルなものづくり企業であり、多摩市内に本社を構えるJUKI株式会社代表取締役社長の清原晃さんから見た「多摩市」です。ぜひご覧ください。

 そして、ちょっとでも興味を持ったら一度足をおはこびください。

 

 

「多摩市のものづくり企業JUKI」

JUKI株式会社 代表取締役社長 清原晃

 

 JUKIは、1938年に調布市国領で創業した、ミシンや産業用ロボットを製造するものづくり企業で、今年12月に創立80周年を迎えます。2009年12月に多摩市に移転し、今年で9年目を迎えました。
私たちが、多摩市に本社を移転しようと考えたのは、当時、本社部門と開発部門が国領と世田谷に分かれていて、社員同士のコミュニケーションが取りづらく、業務の効率化が課題でしたので、一緒に働ける新本社建設をスタートしました。

 多摩市を建設地として選んだ理由は、一つは、多摩地区に住む社員が多かったことと、京王線、小田急線で通勤する社員が多く、この2つの路線が交わる多摩センターは交通の便が良かったことです。また、多摩市は地盤が強固ですので、地震災害に強い地域として魅力的でした。実際、近隣には大手企業のデータセンターや研修施設がたくさんあります。2007年から土地の造成を始めましたが、予想以上に地盤が硬く、整地するのに1年以上かかりました。

多摩市に住む社員から見た多摩市の魅力

 現在、JUKI社員の約15%が多摩市民です。移転してきた2009年には1割程度でしたので、多摩市民の比率が年々上昇しています。
 3年前に、阿部市長と多摩市に住むJUKI社員9名が対話会を持つ機会がありました。社員が感じている多摩市の魅力は、本当にたくさんありました。例えば、公園がたくさんあり広々としていて緑がとても多いこと、街が整備されていてきれいであること、伸び伸びとした環境で子育てするにはとても良い環境であること、京王線、小田急線、多摩モノレールがあり交通の便が良く都心まで近いこと、道が広くて安全であること、大学など学校が多く、学生が多いので活気があること、ハローウインなどの街ぐるみのイベントが多く賑わいがあることなど、数えられないほどたくさんの魅力がありました。多摩市に住んでいる社員の率直な感想なので、私もその魅力について再認識しました。

グローバルでイノベーティブなJUKI

 JUKIは、1938年に創業しましたが、戦後すぐの1947年から家庭用ミシンの製造を始めました。当時の一般家庭で一番欲しかったものが「家庭用ミシン」でした。家庭用ミシンを製造する会社は国内で十数社あったのですが、JUKIがつくるミシンが最も評価が高かったことから、1951年から1955年までの5年間、お年玉年賀はがきの特賞商品に選ばれました。

 その後、1953年には、今のコア事業である工業用ミシンの製造を始めました。私たちのお客様の縫製工場では、一つ一つの工程にそれぞれ専用の工業用ミシンが使われます。JUKIの工業用ミシンは現在、1,000種類以上あり、私たちの身近なアパレルや自動車のカーシート、バッグなどの縫製に使われていて、国内外のほとんどのブランドがJUKIの工業用ミシンを使っています。JUKIのシェアは約30%で世界シェアN0.1ですので、私たちが着ているアパレルなどの縫製品の多くは、JUKIの工業用ミシンを使ってつくられているのです。

 1987年からは、チップマウンタという産業用ロボットの分野にも参入しました。スマートフォンやパソコン、テレビなど私たちの身近なエレクトロニクス製品には必ずその頭脳の役割をする回路基板が入っていますが、チップマウンタは、様々な部品を高速かつ正確に回路基板に搭載する製品です。この業界はとても変化のスピードが早く、常にイノベーションが求められます。従来からこの分野で、最先端の技術開発に取り組んできましたが、今後、更にIoTやICTなどを活用した製品開発に取り組み、イノベーションを加速していきたいと考えています。

 JUKIの昨年の売上高は1,036億円ですが、このうち海外への販売は83%であり、主力の工業用ミシンにおいては、95%が海外販売です。全世界の販売拠点によるグローバルネットワークで世界180か国をカバーしています。また、JUKI社員は6,600人いますが、その約60%は海外の社員ですので、真の“グローバル企業”といえると思います。
欧米、中国、アジア、アフリカ、中南米など、世界中から私たちのお客様やJUKI社員が多摩本社に来られます。本社の正門前には、ポールが5本立っていて、来社されるお客様の国旗を掲げますので、本当に様々な国の国旗が掲げられます。

地域のお役に立ちたい

 多摩市に移転してきてから、JUKIが“多摩市民”として、地域のお役に立てることとして始めたのが、一つがショールーム見学です。多摩本社には工業用ミシン、家庭用ミシン、チップマウンタのショールームがあり、予約をしていただければ誰でも無料で見学いただけます。2011年に京王電車の車内広告「京王紀行」に取り上げられたこともあり、多摩市の方だけでなく首都圏からも多くの方が見学に来られ、毎年2,000人を超える見学者をお迎えしています。

 また、毎年、近隣の南鶴牧小学校と大松台小学校の5年生が、社会科見学の一環として本社見学に来てくれます。ショールームだけでなく、屋上庭園や食堂、環境への取り組みなどを勉強し、JUKI製品の特長や世界中でどのように使われているか学んでもらっています。そして、学んだことを一人ひとりが「JUKI新聞」としてまとめてくれるのですが、子供たちの疑問や驚きが一杯つまっていて、私たちも大変感心させられます。この8年間で1,000人を超える小学生が、JUKIの本社を見学してくれました。

 そして、2010年から毎年夏休みに、「親子手提げバッグ講習会」を開催しています。親子で参加していただき、一緒にミシンを使ってポーチづくりなどを体験し、ものづくりの楽しさを感じてもらい、JUKIのことも理解していただく催しです。この講習会は人気がとても高く、多摩市の広報誌に掲載されるとすぐに定員いっぱいになってしまうほどです。

 この他、地域活動にも積極的に参加しています。地域の美化運動では市から表彰をいただきましたし、多摩市の自衛消防操法大会では、毎年表彰を受けています。

多摩市のJUKIとしてできること

 JUKIが、グローバルなものづくり企業として、多摩市に貢献できる最大の点は、世界に向けての情報発信だと考えています。JUKIは、今年80周年を迎えますが、90年、100年へと繋がるように成長を続け、「多摩市のものづくり企業JUKI」として、世界に向けて様々な情報を発信し、多摩市の名前を世界中に広めるお手伝いをしていければと思います。

 

JUKI株式会社

代表取締役社長 清原晃