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「知って・愛して・多摩市 」Vol.3 「ピクニックのように暮らせるまち」という仮説

一口には語れない多摩市の魅力を、それぞれの専門分野でご活躍の皆さんから、語っていただく「知って・愛して・多摩市」を始めました。

3回目の今回は、株式会社読売広告社ひとまちみらい研究センターの柿沼 裕之さんから見た「多摩市」です。ぜひご覧ください。

そして、ちょっとでも興味を持ったら一度足をおはこびください。

 

「ピクニックのように暮らせるまち」という仮説

株式会社読売広告社 ひとまちみらい研究センター 柿沼 裕之

 

 「まちの資源を掘り起こし、活かし、輝かせる」というテーマですので、多摩市の資源はどのようなもので、それを活用してどんなことができそうか考えてみたいと思います。
 

 「資源」というとあらかじめ存在しているもののように思いがちですが、最初から唯一無二の「資源」が備わっている市町村などそうないでしょう。地形や歴史に輝かしいものでもあればいいのですが、たいがいは近隣と似たり寄ったりです。だから資源は「創出するべきもの」と考えたほうがいいと思っています。地域が持つ「らしさ」や「よいところ」を見つけ、それを市民の幸せに寄与するものとしてデザイン、拡大していくわけです。
 

 では、多摩市の「らしさ」とは、たとえばどんなことなのでしょう。
 

 南多摩尾根幹線道路、通称オネカンという、多摩川周辺を拠点にするロードバイク乗りにはお馴染みの道があります。休日はロードバイクの軍団が風のように駆け抜けていきます。そのオネカンが多摩市の南側を通っていることを知ったのは、あるきっかけで多摩市の仕事をすることになってからのことでした。
 

 オネカンは走っていて気持ちのいい道です。適度に上り下りがあって、信号も、大型自動車の往来も少ない。広めの歩道にはいい具合に街路樹が植わっています。街路樹が桜のところもあり、春の時期には桜のトンネルをくぐるようにして走る。道の脇にちょこちょこ公園があり、スペースにゆとりがありそうな大学のキャンパスも見えます。そんなオネカンの体験から、多摩市は空間が広々した緑のまちという印象を持ちました。
 

 本当のところはどうかと思い、東京都の「公園調書」を調べてみたところ、やはり多摩市は豊かな「緑のまち」でした。1人当たりの公園面積で多摩市は第3位という好成績(東京都市区部)です。多摩市には一級河川の多摩川の水辺もありますから、「野外に公園や水辺などの広い憩いのスペースがある」というのは十分多摩市らしいこと、といってよさそうです。ちなみに第1位は千代田区で、広々した皇居外苑などがある一方で人口がかなり少ないためで、これは例外です。第2位は武蔵野市で、多摩市とは僅差でした。
 

この「らしさ」を活かし、「ピクニックタウン」というコンセプトでまちを活性化していくのはどうでしょうか。出かけるのが楽しくなるようなピクニックイベントが、今日はあっちの公園、次週はこっちの公園である。「公園へのお出かけが日本一楽しい多摩市」みたいなイメージですね。
 

 キッチンカーが公園に並ぶ、カレーフェスのような食イベント。陽差しが気持ちいい時期には、大きなガーデンパラソルが立っているアウトドカフェ。自然写真や写生を学ぶ青空教室。映画の舞台になった絵になる街並みがある多摩市らしい学びかもしれません。大きな音を出しても気にならない川辺には簡易な野外舞台があり、そこではブラスバンドの演奏会。多摩川で取れる魚を使っての食育BBQ。寒い時期には、友好都市である長野県富士見町から運んできた温泉を利用した「足湯」、などなど。
 

 どうでしょう、具体的にイベントを並べてみると「ピクニックタウン」のイメージが湧くでしょうか。ピクニックイベントなどで屋外へ出て自然に触れることのいちばんのメリットは、都市化や情報化のストレスから解放されることです。外へ出ることで、大人も子どもも、高齢者も活動的になりますし、楽しく集えればコミュニケーションも生まれやすい。多摩市全体が、健康的で活動的なコミュニティになっていけばすばらしいと思いました。
 

 と考え、もしかしてどこかの地域が同じようなことをやっているかもしれないと調べてみると、なんとすぐ近くの川崎市多摩区が「ピクニックタウン」を打ち出していました。驚き、焦りましたが、多摩川南側の「タマタマ連携」で大きな面の活動にしていけば双方にメリットがあるようにできると思います。
 

 「ピクニックタウン」はちょっとしたアイデアですので、実行に移すにはいくつもハードルがありますし、やり方によっても大きく成否が変わります。このアイデアをひとつのきっかけとし、市にかかわる方々が自分たちのまちの「らしさ」「よいところ」について考えを深めていただくことを期待しています。
 

株式会社読売広告社 ひとまちみらい研究センター
柿沼 裕之